ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
第30話 行き場を失った野良ギルドに、地球の名を背負う少女が手を差し伸べる。
第30話 行き場を失った野良ギルドに、地球の名を背負う少女が手を差し伸べる。
「やはり来ましたか。リンネ」
私の目の前にいる15歳の少女。
白いローブをまとい、腰まである白銀の髪が月の明りで光っている。
朱の差した白い
その中央にある大きな濃い緑色の瞳の中に、私が映り込んでいる。
「よろしくお願いします」
私は膝をつき、そう言った。
「よろしい。我が傘下に入ることを認めます」
少女の小さな顎が微かに上下する。
彼女はガイア。
『
数時間前までのことを思い出す。
◇
ペガサス旅団をデスマッチで全滅させた私達は、闘技場を後にした。
このままで済むとは思えない。
生き残ったタイチ、セイラ、私は、ギルドホールには戻らなかった。
奇襲を警戒し、拠点を捨てた。
野良ギルドは街の雑踏に紛れ、今後のことを話し合っていた。
「リンネ。お前が使った、あのアイテム。あれは一体どこで手に入れた」
「
迷ったが、それを使うしかなかった。
デクの挑発に乗せられたタイチは、不利なデスマッチで戦うことを了承した。
それはそれで仕方がない。
戦いを要約するとこうだ。
ジャッジメント役のNPCが現れる。
彼の合図を待つ間、それぞれ陣形を整える。
「はじめ」
盾役のタイチが後衛の私達を、敵の攻撃からガードする。
そうしつつ、射程の長いゲイボルグを振り回しダメージを与える。
それでも人数的には敵の方が圧倒的に有利だ。
ガードの脇から漏れた敵は、私が始末する。
後衛のセイラには、詠唱に集中してもらう。
「
敵の妖術師ルグルフの方が先に魔法を発動した。
セイラに向かって一斉に炎の矢が飛ぶ。
「タイチ……」
セイラの声がうっとりしている。
彼女の前で焼け焦げた盾を構えるタイチ。
盾の役目はメンバーを守り切ること。
タイチはその役目をきっちりと果たした。
だが、彼のHPがかなり減少している。
「このヤロウ! ナオシゲに続いてセイラまで殺す気か!」
怒りに任せてルグルフに切り掛かる。
「兄者、冷静になれ!」
盾が自分から突っ込んで行くな。
もう我々は不死身では無い。
私の忠告を無視して、スキルを繰り出す。
「
ルグルフに突き立てたゲイボルグが300の矢じりとなり、彼は肉片となり、メガネだけが原形をとどめていた。
「今だ。行け!」
デクの指示で、敵がタイチに一斉に襲い掛かる。
だが、タイチは使い物にならなくなった盾を持ったまま、攻撃すら発動出来ないでいた。
『
その言葉が私の脳裏によぎる。
スキルを繰り出した後、次の動作に入る前に空白の時間が出来る。
それはスキルの強さによって比例する。
「やるな」
レベル90の戦士職であるタイチに勝とうと思ったら、こういう戦い方しかないのだろう。
私は黒装束の懐に手を入れる。
「使わせてもらうぞ」
私はガイアから貰った
叩きつけた場所を中心に魔法陣が楕円状に広がる。
天から光の柱が魔法陣の中心に向かって、突き刺さる。
「おおっ! ケルベロス!」
誰かが驚きの声が上げる。
召喚されたのは3つの頭を持つ地獄の番犬だった。
つづく
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