ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
第28話 不要になったギルメンは捨てられる。不要以上の害になったギルドは潰される。
第28話 不要になったギルメンは捨てられる。不要以上の害になったギルドは潰される。
「ごめん。もう他のギルドに入ったんだ」
そう、ユウタに断られた。
そのことよりも、もっとショックだったことは、彼の側に女がいたことだ。
フィナという名のその女は、ユウタとだいぶ仲が良いみたいだ。
ユウタの声の感じで分かる。
「うっ……ううっ……」
ズキンと心が痛む。
更に追い打ちをかける様に、ユウタが私をフレンドリストから外した。
これでもう連絡は取れない。
もう、会えない……
否、手掛かりはある。
<リンネ>
「兄者か」
突然の通信。
<今すぐ戻ってこい>
◇
鉄騎同盟が入居する部屋に向かう。
近づくにつれ、血の匂いが強くなる。
ユウタのことを記憶の片隅に意図的に追いやる。
頭と身体を戦闘モードに切り替える。
気配を消し、少しだけ空いた扉から中を窺う。
こちらに背を向けて立つ5人。
青いラインが入った白い制服に、白いマント。
ペガサス旅団か。
それらに向かい合うタイチと目が合った。
背後から寝首を掻けばいいか?
私は目で問い掛けた。
「入れ」
彼は目でそう合図した。
◇
部屋に入る。
壁に血が付いている。
既に戦闘が行われた後の様だ。
地面に数体の死体が転がっている。
服装から、うちのメンバーとペガサス旅団のメンバーだ。
「その小娘がリサを殺したのか?」
ペガサス旅団のギルドマスター、デクが太い指で私を指す。
「違う。俺だ」
タイチが私をかばう。
「嘘を付け。死体の傷口の形状から、こいつの腰に差してる小刀に殺されたに決まってる。それに……」
デクが続ける。
「昨日の夜、リサが俺にこう通信して来た。『リンネに殺される』と」
私としたことが。
リサはソロだと安心していた。
だから、彼女には通信相手なんていないと思ってた。
だけど、デクとリサの関係から、二人がフレンドリストで繋がっていてもおかしくはない。
私とユウタの様に。(こちらは一方的に切られたが……)
それにしても……
通信が届いたのなら、何故、デクはリサを助けに来なかったのか?
タイチが仕方なさそうにため息をつく。
「ここで本格的に争うのは、ギルドホール管理者に気の毒だ。表に出ろ」
◇
ギルドホールはギルドホール管理者が管理している。
彼らはNPCだ。
ギルドホール管理者は、ホール内の設備、備品、その他を管理している。
ギルドホール内での戦闘はご法度だった。
戦闘による破壊により、ギルドホールが使用不可能になれば、無関係のギルドに迷惑が掛かる。
ギルド同士の暗黙の了解であり、ギルドホール管理者からのペナルティもある。
だが、実際は、ケースバイケースだ。
例えば、虐げられている弱小ギルドが、虐げている強いギルドを打ち負かすために不意討ちという形でギルドホールが戦場になる場合がある。
その場合、事情によってはギルドホール管理者は見て見ぬ振りをする。
今回は、ギルドホールの外で戦う。
街のはずれにある闘技場へと向かう。
「いいか、お前達が仕組んだことは全てお見通しだ。俺達はこのことを絶対成敗に伝える。こうなったら親ギルドを巻き込んだ全面戦争だ」
タイチがデクに向かって言う。
「はははは! 俺達が、リサの報復に来たと思ってるのか?」
デクが大笑いする。
「はぁっ!?」
「お前、どこまで頭が筋肉だけで出来てるんだよ」
「何だと!?」
「俺達は、絶対成敗に依頼されてお前らを潰しに来たんだ」
駒は用済みになれば、殺されようが、どうでもいいということか。
私はそう思った。
つづく
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