第16話 有名ギルドのギルドマスターは全員美少女
「これだけのメンバーが一度に揃ったのは何年振りでしょうか?」
『ジャヴァ・パイソン』のギルドマスター、アスミ。
職業はプログラマ、レベル93。
女、18歳。
寝ぐせがピンピン立ってて、伸び放題の黒髪に小さい顔。
その顔の真ん中の丸眼鏡。
その奥の小さな目が光る。
「二年振り?」
笑いながらそう言うのは、『富の会』のギルドマスター、ロゼ。
職業は商人、レベル92。
女、17歳
この世界において、最も個人資産が高いと言われている。
職業柄、戦闘にはからきしだが、彼女の周りには常に強力な護衛が付いていた。
「皆さん、お手柔らかにお願いしますわ」
今日のメイン。
私達のバックにして、親ギルドの『絶対成敗』のギルドマスター、モモ。
職業は妖術師、レベル92。
女、19歳。
魔法使いだが、商売に熱心でポンの取引に精を出している。
本題に入る前のアイスブレイク。
それに加わろうとしないギルドマスターが一人。
「……」
『
職業は治癒魔法使い、レベル90。
女、15歳。
白いローブをまとい、白銀の髪は腰まである。
朱の差した白い
魔王討伐に最も熱心だと言われているギルドだが、謎は多い。
私は5大ギルドのギルドマスターが全員美少女だということを、この場で初めて知って驚いた。
「さて、本題に入ろうか」
マリアンが切り出すと、会議室はシンとなった。
「鉄騎同盟のタイチが、ペガサス旅団のリサを引き抜いたことが、今回の抗争の発端だ。この認識に間違いないな」
マリアンが一同を見渡す。
異論が出ないことを確認し、続ける。
「ペガサス旅団にしてみたら災難だったろう。なんたって主力の治癒魔法使いが引き抜かれたのだから」
マリアンがペガサス旅団のギルドマスターをちらりと見る。
髭面で巨漢のギルドマスターは大きく頷いた。
そして、こう言った。
「リサを一言の断りもなく引き抜かれた。これは我々に対する侮辱行為だ」
ここでタイチが初めて反論する。
「ギルドメンバーの引き抜きは日常茶飯事だ。いちいちギルマスに断りを入れてたら手間が掛かって仕方がねえ。お前らだって、他のギルドから勝手に引き抜いてるじゃねぇか!」
「なんだとぉ!」
「まぁまぁ」
マリアンが二人を制す。
「タイチ。ペガサス旅団がリサを取り戻そうとするのは当然のことだ。それに、彼らは穏便に話し合いをしに来たんだろ? なのに、君達は彼らに攻撃を加え返り討ちにしたそうだな。客観的に見て、君らに非がある」
絶対成敗以外のギルドマスター達が頷く。
タイチが歯噛みする。
だが、レベル90の戦士でもこれだけの猛者を相手に暴れることは無謀だ。
「ま、魔王討伐を目指す君らが、戦力強化したい気持ちも、ギルドをやってる者として、それはよぉく分かる」
マリアンが微笑する。
「だが、この最低な世界においても、やって良いことと悪いことがある」
マリアンは右手を白い胸元において、皆に訴えかける様にこう言った。
「ペガサス旅団のメンバーも負傷した。鉄騎同盟も大事なメンバーを失った。これ以上の犠牲はお互いのためにならない。そうだろう?」
私はこの会議の落としどころが何となく分かって来た。
「事の発端となった鉄騎鉄騎同盟と親ギルドの絶対成敗にはペナルティを支払ってもらうことで、この抗争は無かったことにしたいと思うが、皆の衆、それでいいかね?」
絶対成敗以外のギルドマスターが頷いた。
つづく
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