ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
第15話 その頃、僕をクビにしたギルドでは、ギルドマスターの吊し上げが行われようとしていた
第15話 その頃、僕をクビにしたギルドでは、ギルドマスターの吊し上げが行われようとしていた
私はユウタにしつこいと思われたくない。
だけど、今、ギルドはとてもヤバい状況だ。
助けを借りたい。
否、それを理由に、会いたいだけ……
<ごめん。リンネ>
今日もそんな返事で通信は終わった。
◇
ギルドホールの裏にある共同墓場。
そこには、モンスターとの戦いやギルドの抗争で死んでいった者達が眠っている。
ナオシゲの遺体はそこに埋葬された。
「明るくて、いい奴だったのに……」
タイチがナオシゲの墓に花を添えた。
「リサ。あなたが治癒魔法の発動に遅れたから、ナオシゲは死んだのよ!」
セイラがリサを批判する。
確かに、瀕死のナオシゲを前にしてリサは慌てふためき、治癒魔法の発動に手間取っていた。
その間に、ナオシゲは息絶えた。
リサは実戦経験に乏しいのか?
だが、リサはレベル67のベテランの域にある治癒魔法使いのはずだ。
その彼女が、慌てていた。
私はその矛盾が気持ち悪かった。
「まぁ、仕方ねぇよ」
タイチがリサを弁護する。
そのことが、セイラを苛立たせる。
セイラのメガネレンズは太陽光を反射し白く光っている。
怒りの瞳はタイチには見えない。
セイラの気持ちを良く理解していないタイチは、こう続ける。
「俺たちの不死身神話も、これで終わりという訳か」
そう。
私達は不死身だった。
HPが0になろうとする時、決まって私達は0になることは無かった。
まるで神に守られているかの様に。
だけど、私は真実を感じ取っていた。
全てはユウタのお陰だったと。
奢り高ぶるタイチは、自分こそ選ばれし者『救世主』であることを意識し始めた。
『救世主』は『守護者』を引き連れ魔王を倒す。
この世界の神話を本気で信じていた。
だが、ナオシゲの死で、自分達は凡人だと自覚した。
タイチは仲間の死よりも、そちらの方に落胆している様に見える。
◇
数日後。
街のど真ん中にある神殿。
その中にある巨大な会議室。
そこに5大ギルドのギルドマスターと、鉄騎同盟、ペガサス旅団のメンバーが集められた。
「忙しい中、今日ここに集まっていただいたのは他でもない。鉄騎同盟とペガサス旅団の抗争についてだ」
高らかに会議の開催を宣言したのは『DEATH』のギルドマスター。
彼女の名はマリアン。
職業は戦士、レベル95。
19歳。
赤い髪、真っ赤な唇、切れ長の目をした美人だった。
胸元を露わにした黒いドレスを着ている。
この場に最も不似合いなファッションは、自己顕示欲の表れか。
「各ギルドマスターには遠路はるばる来ていただいたことに、礼を言う」
マリアンが会釈すると、向かいに座るギルドマスターたちも頭を下げた。
左から、
『ジャヴァ・パイソン』のギルドマスター。
『富の会』のギルドマスター。
『
『絶対成敗』のギルドマスター。
ちなみに、絶対成敗は鉄騎同盟のバック。
つまり、我々の親ギルドだ。
私達、鉄騎同盟は、絶対成敗のギルドマスターの背後に控えていた。
「兄者……」
この騒動の発端となったタイチは私の隣にいる。
「何でもねぇよ。リンネ」
強がっているが、小刻みに震えている。
これだけの重鎮が揃ったことに恐怖を覚えているのか。
鉄騎同盟とペガサス旅団の抗争が、これほど大ごとになるとは思ってもみなかったのだろう。
つづく
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