第10話

朝だ。

まだ眠いが今日は起きよう。


顔を洗いギルドにつく。

カウンターに向かう。

「こんにちはカルムさん。そういえば昨日の話、大丈夫そうよ。試験は11時から地下闘技場で行うそうよ」


「ありがとうございます、リリーさん。あと前から思ってたんですけど、敬語使うのやめて持ってもいいですかね?なんか年上に敬語使われるの慣れてなくて。」


「ああ、わかったわ、じゃあこれからはカルム君って呼ぶことにするわね」


「ありがとうございます。じゃあ試験時間までにちょっとお店回ってきますね。」


そう言ってギルドを出た俺は出店が並ぶ商店街にきた。

俺の目当ては行商人の店だ。

店の売り物にも興味があるし、目当ては行商人本人だ。

行商人の方は【アイテムボックス】と呼ばれるスキルを持っているらしい、なのでそのスキルを頂こうと思う。


いただくと言っても奪うのではない、スキル強奪は名前は強奪となっているが、スキルをコピーして自分も同じスキルを手に入れるような形で、相手のスキルは無くならない安全なスキルなのだ。


これは酸弾を持ったスライムのスキルをとった後に、スライムが酸弾を使っていたので証明済みだ。


歩いて店を見ていく。

すると、行商人らしき人を見かけた。

近づいてみる。


「これは東方の国の剣、カタナと呼ばれる剣だよー!今ならおやすくしとくよ!」


と、東の国の剣を売っている最中だった、まぁ、俺には関係ないものだったが。

俺は行商人に手をかざし最低の強さでヒュプノスを発動させる。

このぐらいはほんの一瞬寝る程度なのであまり影響は出ない。

その隙に俺は行商人にスキル強奪を発動させる。

行商人から得たスキルは【鑑定】、【アイテムボックス】の2つだった。

まぁいかにも行商人っぽいスキルだが、鑑定を得られたのはでかい。


スキルは相手のスキルをまるまるコピーした地点からスタートという形になるので、おれはすぐに行商人と同じ、それ以上の広さのアイテムボックスを使えるはずだ。

すぐに合計約2200万リルをアイテムボックスに入れる。

あんな大金を持ち歩くのは常にヒヤヒヤしていたので、凄く気が楽になった。


その後もいろいろ店を見て回った。

出店ではないが、古い店に、【魔法の素質】をエンチャントされた腕輪をゲットした。


そうこうしていると、10時半ぐらいになったので、ギルドへ向かうことにした。


あそこからギルドまではそこまで遠くはなかったので、思ったよりすぐ着けた。

地下闘技場に降りる。

そこには試験官の人がいた。

「俺は試験官のカンだ!よろしくなカルム!」


凄く熱い人のようだ。

「あ、はい。よろしくお願いします!」


「まだ16歳だと聞いたが体つきはしっかりしてるな、じゃあ本気で来ていいぞ!スキルも存分に使っていいぞ!」


この試験官はよほど自信があるらしい。

俺にスキルを使っていいとは…

まぁ出し惜しみするのも悪いので、本気で行かせてもらう。


「じゃあ行きますよ!」

そういい俺は試験官に手をかざす

【ヒュプノス】

そう言った瞬間、試験官は倒れた。

まぁ正確には眠っただが。


審判のひとは口をあんぐりと開けてこちらを見ている。

「はっ、試験官の気絶により規定に基づき、冒険者カルム、Cランク昇格!」


と、試験官が起きる。

何が起きたか分からない様子だ。


「カンさん、勝たせて頂きましたよ。」


カンさんはマジか、、という様子だ。

まぁ勝ったことには変わりないので良しとしよう。


「何が起きたかわからなかったが、俺より強いことがわかったから、お前は俺の権限により、今からBランクだ。俺は元Aランク冒険者だからな。それと、ギルド長のサルムは俺の親友で、お前が俺にかったら、Bランクに上げてもいいと言っていたからな。」


「ビ、Bランクですか…」

あまりに急だったのでさすがに驚いた…


「まぁお前の実力なら全然大丈夫だろう。お前なら大陸1の…いや世界一の冒険者になるかもしれない。まぁどっちにしろ、お前はこれから注目されるかもしれないが、まぁ気にするなよ。

あと、サルムからの伝言だ、お前に絡んでくるやつがいたら、ギルドの中だったら死なない程度にボコってやれと言っていたぞ。」


「世界一ですか….俺には遠い存在ですね。まぁ今日はありがとうございました!」


俺は地下闘技場から出て、カウンターに向かう。

「リリーさん、俺今からBランク冒険者になりました。」

「ビ、Bランク冒険者!?ほんとなのカルム君!?」


「はい。えっと油断はして貰ってのですが、いちよう試験官のカンさんに勝ったので…」


「あ、あのカンさんに勝った?」

リリーさんはポカンとして、まだ状況が理解出来ていない様子だ。

「そしてBランク冒険者になったので、俺はちょっと他の街にも言ってみたいと思います。」


「そ、そうね。カルム君がいなくなると少し寂しくなるけど、君にはそれが似合ってると思うわ。その優しい心で、いろんな人々を救ってあげてね!」


「はい!今までお世話になりました!また帰ってきた時は旅の話をおきかせしますね!」


そう言って俺はギルドを出た。

俺は門をくぐる。


これからは野宿が続くだろうが、本当に気持ち良い気分だ。

これから俺の物語が始まっていく気がして…

風が吹く…


体を思いっきり伸ばす

「ンン〜、今日は森で日向ぼっこでもして寝ようかな?」

と、あまり締まらない始まりだった。


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