君に会えない僕

かすまる

第1話

「大島くん!!」

この声を最後に俺は暗黒の中に飲み込まれていった


ピーピーピーピー

看護師「バイタル安定しています」

看護師2「大島くんが目を覚ましました」

「先生を呼んで」

医者「大島くんここがどこかわかる?」

大島「病院ですよね?どうして俺はここに」

(そうだ集合場所に向かう途中で、車に轢かれそうになったところで町田に押されたんだ)

大島「町田!町田は無事ですか!?!?

医者「大変申し訳あげにくいのですが...」

(俺のせいで...)

大島「う、うわぁぁぁぁ」

とてつもない喪失感に襲われ滝の様に流れ始めた涙は止まらなかった

医者「落ち着いたらもう一度来ます。それからこれを」

大島「手紙ですか?」

医者「大島くんが起きたら渡してくれと言われていたので」

医者はそう言うとニコッと微笑み病室から出ていった

[この手紙を読んでるって事は大島君は無事だったんだねよかった、これを読んでいる頃には私はもうこの世に居ないかな...あ、でも!大島くんの一部となってまだ生きてるよね!ヤンデレみたいになっちゃった笑

私みたいな女忘れて幸せに生きてね!!じゃあね]

手紙は一枚のメモ紙に書かれているだけだった

(町田..,)

医者「落ち着きましたか?」

大島「はい。」

医者「実は大島さんの心臓は...」

大島「大丈夫です。分かってます町田の心臓が入ってるんですよね」

医者「そうか...町田ちゃんがくれた命をお粗末にしちゃダメだよ」

大島「はい、分かってます」


(町田...町田は、なんで俺が事故に遭う事が分かってたんだ)

ガラッ

「大島!!(くん!!)」

「大丈夫だった?」

「愛奈の事は気に病まないで平気だからね...」

大島「うん大丈夫、ありがとう」

友達の神童 輝と今井 灯が勢いよく入ってきた

輝「まぁこれ食べようぜ」

灯「クリスマスだもんね!」

見舞いに来る途中で買ってきただろうケンタッキーの肉を取り出した

大島「俺って飯食って平気か?」

輝、灯「あ、」


輝、灯「じゃぁ帰るね♪」

大島「お見舞いありがとう」

輝「一緒に初詣行こうな!」

二人は満足気に帰っていった。

彼らが帰った後俺はなんで町田が事故に遭のが分かっていたのかを考えた。

看護師「消灯の時間ですよ」

そんな事を考えていると消灯の時間になってしま

った。

(今日は寝よう)

考えがまとまらないので今日は寝る事にした


リハビリ生活が始まった最初は座るなどの簡単な動作から始まり段々歩けるようにもなってきた、食事も流動食から段々とましなものが食えるようになっていった

2ヶ月後

医者「おめでとうございます退院です」

大島「ありがとうございます」

普通に歩けるようにもなり2ヶ月で退院することができた

(よし、まずは町田の所に行かないと)

俺は町田の家に向かった

町田母「あらあらーいらっしゃい大島くん退院できのねよかったわ」

大島「申し訳ございませんでした」

俺は町田の親に謝りに行った

町田母「気にしなくていいのよあの子が好きでやったんだから...その代わり精一杯生きてね」

大島「はい、頑張ります」

俺は罪悪感に潰されそうになっていたが町田の母からの言葉で一気に気持ちが軽くなったそのせいなのかは分からないけれど涙が止まらなくなってしまった

ギュッ

町田母「愛奈...」

町田の母が抱きしめてきた。

町田母は町田の名前を呼びながら、一緒に泣いた

大島「町田...愛奈の部屋を見せてもらっても平気ですか?」

町田母「大丈夫よ、でも...あの子が亡くなってからは一度も部屋に誰も入ってないからあの子が使っていたままなのよね、それでも大丈夫?」

大島「大丈夫です。お気遣いありがとうございます」

俺は町田がなんで事故について知っていたのか手がかりあるんじゃないかと思い町田の部屋を見せてもらった。

部屋は女の子らしく綺麗にされていて真ん中に机が置いてありノート型パソコンが置いてあった

町田母「じゃあ私はリビングにいるから気が済むまでいてね」

大島「はい、ありがとうございます」

部屋から町田の母が出て行くのを確認すると俺は早速パソコンを開いた

(やっぱりパスワードがかかってる...)

パソコンにはパスワードが掛かっていた。何かパスワードの手がかりになるものはないかと辺りを見渡すとパソコンにメモが貼り付いていた

メモには

[12300202357]

と書いてあった

(流石にこれな訳ないよな...)

俺はダメ元で入力する事にした。

ピローン

(...パスワードの意味ないだろ)

こういうドジな所もあいつらしいなと思いいつつ苦笑いを思わず浮かべてしまった。

手掛かりがないかとパソコンのファイルを開いた

(ん、なんだこのサイト)

そのサイトには

[貴方の大事な人にもう一度会いませんか?]

と書かれていた俺は興味を惹かれそのサイトを見ていた

[会いたい人の名前、戻りたい日付、会って何がしたいかを入力して下さい]

と書かれていた。俺は胡散臭いと思いつつももう一度会えるならと思い

[町田愛奈、4月1日、助けたい]

と書いただが何も起きなかった

(まぁ流石にあり得ないよな)

大島「おばさん、帰りますね」

町田母「あら、もういいの?」

大島「はい」

町田母「またいつでも来たい時に来ていいからね」

大島「はい!ありがとうございます、お邪魔しました〜」

部屋を色々見てみたが手がかりらしき物は見つからなかったので町田家を後にした

家に帰ってまだ慣れない自分の部屋のベットで寝転んだところで携帯が鳴った

輝[退院おめでとう、親友のお前の退院に立ち会えなくてごめんな!今度遊ぼう]

輝からのLINEだった

[おう!]

とLINEを返し携帯を閉じた

暗くなった画面に自分の顔が映った

(俺めっちゃブサイクだな...)

画面に映った自分の皮を見て初めて自分がどれだけ泣いていたのかを実感した。

ホーム画面の町田の顔を見たところで暗闇の中へと吸い込まれていった

(町田...)


看護師「朝の健康チェックの時間ですよ」

大島「はーい」

(体が重い)

慣れていないベットで寝ていたはずなのにいつもの慣れたベットの上にいた。

(あれ?この病院じゃんいつもの癖で返事したけど)

大島「なんで俺病院にいるんですか?急に容態が悪化したとか?」

看護師「何言ってるんですか?いつも通りじゃないですか?それとも体調が悪いとかですか先生をお呼びいたしましょうか?」

大島「いえ、大丈夫です夢と現実の区別がついていなかっただけです」

なら良かったですと微笑みながら言い

チェックを終え部屋からでていった。

俺はまさかと思い携帯を開くと。そこには

[4月1日]

と表記されていた

(え?時間が戻ってる)

今までが夢の出来事だったのではと最初は思っていたけれど医者の一言を聞いて過去に戻ったことを理解した。


医者「体調が大分安定してきましたねこれなら通院でも平気ですね」

大島「本当ですか?」

妹「やったねお兄ちゃん!」

母「本当に本当によかった..!」

妹のありすと母が涙を浮かべながら喜んでいた

(本当に戻ってる!なら!)

大島「普通に高校に通っても平気なんですか?」

先生「はい、ですが土曜日と日曜日は検査などもあるので毎週いらして下さい」

大島「はい」

俺はこの日6年ぶりに本当の家に帰る事ができた


心臓が生まれた時から弱く小学生の卒業の間近の時に容態が急変し入院する事になってしまった

母「本当に高校に行くの?」

大島「俺は行きたいんだ」

母「こんな変な時期に編入してきたら変に思われてしまうかもしれないわよ」

大島「平気だよ、勉強について行けない訳じゃないだろうし」

俺は自信があった1回目の時もみんなは自然と受け入れてくれてすぐにクラスに馴染めたからだ

(今度こそ町田!絶対におまえを死なせない)

俺はこの辺で1番近い高丸高校に編入する事になった。校長先生も優しい人で事情を説明したら編入試験に合格したら入学して良いとすぐに許可をくれた。

入院生活で勉強だけはずっとやってきた俺は凄い自信があった。



キーンコーンカーンコーン

ガラッ

先生「みんな静かにして、今日は編入生の子が来ました」

「「「「おおおおおお」」」」

「可愛い子だったらいいな」

「イケメンがいいな」

クラスの中ではどんな子が来るかで話は持ちきりだった、でもこんな変な時期に編入かぁ

灯「愛奈は男の子だと思う?女の子だと思う?」

愛奈「うーん、」

輝「ん?なんの話だ?」

悩んでると輝が話に入ってきた

男子とあまり喋らないけれど男子の中だったら1番喋る人だ

灯「あんたばかなの?」

輝「馬鹿とはなんだばかとは」

灯「人の話はしっかり聞きなさい」

二人はいつもこんな風に喋っている

私はこんな二人と一緒にいるのが大好きだ

灯「で?愛奈はどっちだと思うわけ?」

愛奈「私は男の子と喋るのがにがてだからやっぱり女の子がいいかなぁ」

輝「愛奈はやっぱわかってんな!編入生って言ったら超絶美少女に限るよな!」

灯「そこまで言ってないでしょ!!」

(でも本当にどっちなんだろう)


ガラッ

そんな事を話していると廊下から編入生らしき人が入ってきた

(カッコいい)

そこには超絶カッコいい男の子が立っていた

思わず顔が赤くなってしまった

灯「イケメンね(ボソ」

男子「くそーー」

女子「やったー!!」

クラスの男子のほとんどは落ち込み女子は喜んでいた。

大島「俺の名前は大島海斗です3年生という変な時期に編入してきてなんだこいつはと思うかもしれませんが一年という短い時間てますがよろしくお願いします」

「「「「おおおおおお」」」」

クラスからは歓声が上がった

彼はニコッと微笑んだ

顔が急に熱くった

灯「愛奈、顔赤いわよ」

愛奈「ふへぇ?」

灯「まさか...好きになっちゃったの?」

愛奈「そんな、そんな事ないよぉ」

(え、え、そんな初恋の人が一目惚れって事あるの?)

灯「でも彼は倍率高くなるわよイケメンだもん、でも愛奈も可愛いから平気よ頑張りなさい」

愛奈「え?あ、うん」

先生「じゃぁ愛奈さんの隣空いてるからそこに座って頂戴」

大島「はい、わかりました」

と、言いながら彼は私の隣に座った

大島「よろしくね町田さん」

ニコッ

(私の名前...)

愛奈「よ、よろしくね大島くん」



先生「みんな静かにして今日は編入生の子が来ます」

「「「「おおおおおおお」」」」

廊下の外まで歓声が聞こえてきた。

この声を聞くだけで俺は本当に戻ってこれたんだと涙がこぼれそうになった


ガラッ

教室に入ると男子の半数は落ち込み女子は喜んでいた

(1回目と一緒だな...)

大島「俺の名前は大島海斗です3年生という変な時期に編入してきてなんだこいつはと思うかもしれませんが一年という短い時間てますがよろしくお願いします」

ニコッ

(第一印象は大切だからな)

「「「「おおおおおお」」」」

クラスからは大歓声が上がった少しこれも悪くないと思った

先生「じゃぁ愛奈さんの隣空いてるからそこに座って頂戴」

(町田...)

俺はこのクラスに入ってからは町田を意識しないように視界に入ってしまったら好きになってしまうと思っていた。

(絶対に守る)

大島「よろしくね町田さん」

(やべ、苗字聞いてないのに言っちゃった)

愛奈「よ、よろしくね大島君」

町田は緊張気味に挨拶を返してくれた







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君に会えない僕 かすまる @kasumaru

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