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【朗報】マジキュア、マジのゴリ押し【マキさん】
牧野あゆみ(マジレジェンド)
主人公の橘かおりが通う中学校の生徒会長。皆からは牧さんと呼ばれ慕われている。
文武両道の万能人間で憧れの的。
コミュニケーション能力は高いが、誰かと深い交友関係は作らない。
人の期待に応えることを信条としており、マジレジェンドとしての使命に誇りをもっている。
やるからにはなにごとも全力をつくすタイプで、妖精マジジイからは完璧なマジキュアと評される。
2: 本気の名無しさん
これマキさんじゃね?
10: 本気の名無しさん
>>2
マキさんの牧さん役
マキさんを役に当てたというよりも、マキさんをもとに作ったキャラな気がする
ゴリ押しはゴリ押しでも全力のゴリ押しって感じ
凄い金かけてそうだし、逆に期待できる気がしてきた
20: 本気の名無しさん
レジェンドっていうタイトル名もついてるし裏主人公みたいな形なのかな
29: 本気の名無しさん
>>20
むしろ闇落ちしそう
102: 本気の名無しさん
マジレジェンドってタイトル的にも名前的にも強キャラ感。
そんな役を声優初挑戦の小学2年生にやらせるとか冒険しすぎ。
140: 本気の名無しさん
>>102
人生2週目のマキさんならいける
180: 本気の名無しさん
>>102
マキさんならきっと何とかしてくれる
199: 本気の名無しさん
>>140
いくらマキさんがマキさんだって言っても役者と声優は別ものだから
334: 本気の名無しさん
りさぽんにももっと注目してあげて
352: 本気の名無しさん
>>334
マキさんのビッグネームの前には霞む
378: 本気の名無しさん
>>334
おっぱいぐらいしか勝てないし
390: 本気の名無しさん
>>378
正直マキさんの方が色気を感じる
401: 本気の名無しさん
>>390
ロリコン乙
でも言いたいことは分かる
◆
菅野平はマジキュアシリーズ最新作の、敵幹部役を演じることになった。
アニメ好きのみならず、一般人にすらも知られているベテラン声優だ。
彼はアニメ業界では、おっぱい星人として有名である。
収録中やオフのときも、巨乳の女性声優には妙に優しい。
一方で貧乳の声優には心なしか素っ気ない対応をとることが多く、貧乳の声優たちは「菅野さんは私たちに厳しい」とラジオでよくこぼしている。
自他共に認めるおっぱい好きの菅野は、マジキュアの撮影を楽しみにしていた。理由の一つはもちろん、巨乳声優の柊理沙が出演するからだ。
(あれは、いいおっぱいだ)
何度か共演したことはあるが、彼女のおっぱいは素晴らしいといつも感心してしまう。
大きさも形も質感も、おっぱい星人の菅野をうならせるほどの芸術品だ。
だから理沙と共演するときは、菅野のテンションは傍から見ても明らかに高くなる。
ただ、素晴らしいのはあくまでおっぱいだけで、声優としてはまだまだだろう。
才能はある。だがまだ突出してはいない。
才能ある声優たちの一人。
でも、おっぱい的にはナンバーワンだ。
(うーん、おっぱい!)
都内の某スタジオで、マジキュア新シリーズの初回録音が行われていた。
菅野は理沙のおっぱいを目に焼きつけるべくガン見中だ。
「マキちゃんの席はここね。誰がどこに座るとか、結構決まってたりするから注意すること」
「はい、分かりました」
山下マキと柊理沙の二人が並んで座る。
理沙が台本を開いて読み方を教えたり、スタジオ内の器具について説明したり、様々な初歩的なことを熱弁していた。
先輩が新人に教えるほほえましい構図だ。しかし菅野の目には、妹が姉に覚えたてのことをドヤ顔で説明しているようにしか見えなかった。
妹(28歳)と姉(9歳)、といったところか。おかしな話ではあるが、年下のはずのマキが姉に、年上のはずの理沙が妹に見えてしまう。
(今回はそれでいいのかもしれない)
理沙の大人としての尊厳が心配になってしまうけれど、今回の収録に関してはむしろ良い効果をもたらす可能性がある。というのも、アニメの役柄でも、マキの役がしっかりものの先輩で、理沙の役がドジで元気な後輩なので、役柄に沿う関係性を築けているとも言えるからだ。
(いや、しかしそれにしてもどうなんだろうか……)
菅野は理沙を気にかけている。
経験を積んできた者として、声優の技術やマナーを教えてきたつもりだ。
だが理沙の根本的な子どもっぽさには手をほどこせなかった。
「そんなに一気に説明しても覚えられないぞ」
空回っている理沙のおっぱいは素晴らしかったが、黙って見ていられなくなって、つい口を出してしまう。
「細かいことを覚えるよりも、まずはやってみて失敗しないと」
「失敗前提ですかぁ? マキちゃんなら大丈夫ですよ!」
「理沙さん、い、息が……」
理沙がマキに抱きついた。
爆乳に挟まれて息ができなくなっている。
おいそこ替われ、と菅野は嫉妬した。
「ごめんねマキちゃん」
「大丈夫です」
柊理沙、28歳。彼女は抱きつき癖がある。
男性相手には控えているらしいが、よく女性には抱きついている。
握手会で、熱心な女性ファンが来たときに感極まって抱きついたこともあるらしい。
そのファンはツイッターで「極上である」と語って、男性ファンから羨ましがられていた。
一度はその極上おっぱいを味わってみたいものだ。
「ドラマや映画の撮影でアテレコの経験はあるかもしれないけど、声優の演技はまた少し違ってくる。だからまずはやってみて、失敗すればいい」
「はい、ありがとうございます!」
小学生の山下マキは当然胸は大きくないが、さすがの菅野も子どもには優しく接する。
だが12歳で声優デビューをした某女性声優によると、成長して将来の望みが薄くなってきたあたりから急に冷たくなるらしい。
「なんだか菅野さん、今日はかっこよく見えますね!」
「いや俺はいつも格好いいだろ」
「えっ……? いつもはおっぱい星人じゃないですか」
そう言いながら、冗談めかすように、たわわに実ったおっぱいを、両手で下から支えて少し持ち上げる。
「ぶほぉ」
間抜けな音をたてながら、鼻から血を噴水のように噴きだして倒れた。
◆
「ふはーはっは! お前たちの運命もここまでのようだな!」
「私は……あきらめない!」
ダンディな声の梟怪人・パイブクローが、少女と幼女を前に笑う。
幼女を背負いながら必死に逃げ回った結果、少女はこれ以上歩けずにへたり込んでいる。
絶体絶命の窮地に追い込まれながらも、少女の目はまだ諦めていない。
「その目、気にいらんぞォ!」
半ば意地で開き続けた瞳が迫りくる死を映す。
何か手立てはないだろうか。
最後の瞬間まで、生きる希望を諦めずに抗い続ける。
「よく頑張ったわね」
「えっ」
「貴様は――マジレジェンド!?」
もう安心だと思わせる、凜とした声がした。
少女の前に現れたのは綺麗な女性だった。
「マジ、レジェンド……」
少女の目に強く美しい姿が焼き付いた。
◆
芸能界は伏魔殿だ。
その中にひっそりと存在している声優業界であっても、大変な業界であることは変わらない。小さい女の子が飛び込むには大変な世界だ。
しかし、山下マキは本流の芸能界、役者の世界で大人と張り合っている。
礼儀正しい女の子だ。
菅野が山下マキに抱いた印象はその程度のものだった。拍子抜けしたと言っていい。
だがそれも本番が始まるまでの話だ。
準備をするように言われた瞬間、スタジオ内の空気がかわる。
「マキ……ちゃん?」
「よろしくお願いします」
「あ、うん」
理沙がマキの豹変ぶりに戸惑っている。
それもそうだろう。
声優たちを喰らいつくす獣のようになっていた。
スタジオ内がヒリヒリしている。声優陣やスタッフに緊張が走った。
彼女を子どもだと侮ってはならない。
「よく頑張ったわね」
菅野たちが声を当てるにあたって、アニメーションの映像はまだ完成していない。線画の紙芝居に声を当てている状態だ。
だが菅野には、山下マキが演じるマジレジェンドの完成形がはっきりと脳裏に浮かんだ。
「これが声優デビューとか……マジか」
上手な声優が声を当てれば、その声を聞くだけで映像が見えてくる。
菅野はかつて、そう教えられた。
自分はその領域に達することができたのだろうか、と日々自問している。
だが目の前にいる幼い少女は、既にその領域に達していた。
音響監督に目を向ければ、口を大きく開けて放心している。
彼が普段から口酸っぱく語る、声の距離感も完璧だった。
役者が声優をやるとき、距離感に苦労することが多い。役者が映画やドラマの撮影をする際は、話しかける相手がそこに実際に存在している。あるいは撮影方法の関係で相手がいない場合もあるかもしれないが、比較的イメージはしやすい。役者の場合は自分という基準点をそのまま使えるからだ。
だが声優の場合は違う。演じるキャラと、自分との間の基準点を、想像して一致させていくところから始める必要がある。
初めて声優をやる役者は、そこでつまずいて違和感が生まれてしまう。でも、マキにはそれが当てはまらなかった。
「あ、あなたは……一体」
理沙の演技が続く。
その台詞を聞いて、菅野は驚愕した。
主人公の女の子の感情を見事に表現しきっていたからだ。
迫真の演技だ。いつもの理沙よりも真に迫っている。
(これは、あの子のお陰なのだろう)
マキが理沙の真に迫る演技を引き出している。
もしかすると理沙は、この作品の収録を通して一皮むけるのかもしれない。
初声優でありながら、共演相手を引き上げる少女を末恐ろしいと思った。
「これが……天才か」
彼女に呑まれてなるものか、と菅野は気合いを入れ直した。
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