第5話 kill you
そうさ、君は
甘い口づけで僕に 春を呼んだ
その密の香りで僕の体を包み
歓喜の世界へと 導いたよ
……
俺は知らなくても良かった
無垢なまゝでも 後悔はしなかったろう
何よりも俺は 自由が欲しかった
そうさ、君は
俺の卑屈な心を和らげ 素直さをくれた
俺の幼い心を開かせ 大人の心をくれた
俺の心から自由を奪い取ってしまった
俺の心の全てを 君は埋め尽くしてしまった
何をするにも まず君のことを考えてしまう
何よりも俺は 自由が欲しかった
だから今
憎いほどに愛してる君を、今、いま、殺したい!
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(独り言)
なんともぶっそうなタイトルです。
大切にしてきた自分というものを壊し始めた相手に対する、憎悪と思慕の念とのせめぎ合いといったところでしょうか。
家族の愛というもの ―― 普遍的な愛というものが信じられない自分に湧いてきた、得体の知れない感情に戸惑いつつも、信じてみようかと思い始めて。
愛されている、愛されている、愛されている、はずだ。
それでもやっぱり不安で、砂上に立てた杭の上でグラグラとする不安定な移ろいやすい心を感じて、自分を持て余すそんな己が許せなくて、殺してしまいたいと思ってしまう。
誰を? だれを? なにを?
結局、メビウスの輪のように……
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