第171話

 覚悟が決まると意外と集中できるもので、高校入ってから一番集中して、理解することができた。


 トップにやばい英語の授業を、一コマとはいえちゃんと受けて、ちゃんと理解できたっていう自信につながる。

 その自信がワークを開けた瞬間に崩れないことを祈るばかり……。


 テストの方式は全ての教科、普通に学期初めに配られたワークの中から出るって言ってくれてる。

 だからまだ対策の立てようがある。

 これで何を勉強していいのか分からないみたいな感じだったらほんとうに対応できなかった……。


 今更になって必死に努力しても高が知れてるのは分かってる。

 だから贅沢は言わないからせめて最初のこのテスト、赤点なしを目指していきたい。

 このタイミングから先生に目をつけられるのはこの先の高校人生不安でしかないから。


 そんな不安を抱えて、授業をほんとに頑張って真面目に受けて、気づいたらテスト前夜。

 明日、これまでの努力の成果を見せなきゃ、って一人で大袈裟に覚悟を決めている。

 不安で眠れない、みたいなことになりそうだったから心を落ち着けるために走りに行く。

 このまま家にいても不安になってくるだけだから。


 行ったことのある道を避けて走り回る。

 気づくといつも通り、どこだか分からない場所にいた……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る