第172話

迷った後はとにかく自分の背中が向いていた方にとりあえず走りだす。

道は思い出せないからとりあえず何回も何回も曲がって知っている道を探して走り回る。

奇跡的に知っている道に出ることを願って走り回る。


走り回るとこの間来たショッピングモールにいた。

相当とおいいところ来てしまった自覚がようやく出てきた。


背中が向いていた方向に走り出したのが間違いだったかもしれない。

反対という訳ではないけど多分検討違いの方向に走っていたらしい。


この間来たときは電車だったけど俺は今日、一文無しだから電車に乗れない。

全力で走って帰る。

ここから電車で30分。

だいぶ回り道する線路だったから走って帰ったら何分かかるか見当もつかない。


は~ここまでで結構限界に近いくらい疲れてしまった。

なのにここから何分かかるかも分からない道を走って帰るしかない。


冗談じゃなく死にそう。

脱水だとか、疲れすぎだとかで多分倒れる。


どこかこの辺で水を飲めるところを探そう。

公園があれば水が飲めるはず……。

今度、外に出る時は必ず財布、携帯は持ち続けようって心に決めた。


財布さえあれば今から電車に乗って行けるのに……。

携帯さえあればこんなところにいないのに……。

はぁ~……。

嫌になるけど……ここで頑張らないと、どのみち遭難だ……。

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