第165話

「あ!そういえば……先輩に聞きたい事があったんです!」

 解散直前になって勉強のことを聞こうとしていたのを思い出した。

 それよりも前は絵のことしか考えていなかった。


「え……そんな前のめりにどうしたの……?」

「勉強の仕方を教えて欲しいんです。」

「あ~。今回の授業、不安な感じ?」

「はい…。」

「大丈夫、大丈夫。最初のテストなんだから授業さえ起きてれば赤点を取ることはないって……」

「やっぱり授業起きてないと点数取れないですよね……」


 顔から熱が消えていく。

 絶望というか、その手の何かが俺を襲う。

「もしかして……授業寝ちゃってる人……?」

「はい……。」

「じゃあもう必死に勉強するしかないでしょ」


 そんなアドバイスとも言えないアドバイスをもらった。

 寝る気はなくとも寝ている俺が悪いのは分かる……。

 もちろん、これから勉強して100点を取れる勉強法を知りたいわけじゃないんだ……。

 それでも何も言ってくれないのはきっとそれだけ授業中に寝てるってのは不利になるってことんなだと思う。

 っていうか自分で勉強できるほど勉強が好きな人なら授業中に寝てないと思うんだけど……。

 もう自分の状況が悪すぎて現実から逃げ出したい。

 テストの日にちょうど良く熱が出て欲しい。


 結局、テストを受けられなかったら0点だけど受けて0点よりはなんて気分になってくる。



「はぁ~勉強頑張るしかないか……。」

 帰路につきながら意味はないと分かっていてもそんなことをつぶやいてしまう。

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