第159話

 予知した通り、授業が始まって10分くらいから耐えがたい眠気に襲われる。

 ここで寝てしまったらこの間勉強した意味がなくなってしまう、そのくらいの覚悟を持って起きている。

 ただ授業が悪かった。

 この授業は生徒を指名することなく、ただ解説をして問題を解く時間を与えて、そのあと先生が自分で黒板に書き解説。

 そんな地獄みたいに退屈な授業方式。

 だから起きてられなかった。


 気づいたときには黒板の行が変わるほど寝てしまった。

 何時から寝始めてしまったかは分からないからどれくらい寝ているのか分からないけど……とりあえず今は黒板が消される前に黒板の内容をノートに写さなければ!


 慌ただしくノートに写してチャイムを聞く。

 ノートを写すのに夢中になってしまったから解説を何も聞いていなかった。

 だから何も分からない可能性がある。

 自分のノートを見直して解き方を考えるしかないか……。


 初めて暗記科目以外のノートを活用している自覚が出てきた。

 今まで適当に覚書用おぼえがきようと思って書いてきたものだけど、ちゃんと意味があったんだ……。


「大丈夫ですか?」

「良子さん……。多分、なんとか大丈夫です。」

「なら良かったです。ところで数学のノートって全部写しました?」

「ぎりぎり写し終わりましたよ」

「後で写させてください!」

「全然大丈夫ですよ」


 この俺が良子さんに勉強という分野で助けられる日が来るとは……。

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