第156話

 暇な時間を過ごして、初めてって言っても過言じゃないレベルで新鮮な朝のコンビニへ行く。

 時間帯によって同じお店でも取り扱っているものが違うなんて有名な話だけど本当にその通りだって実感した。

 俺が普段行く時間帯は学校終わりによる程度。

 その時間にはこの時間程お弁当やおにぎりはおいていない。

 その代わりデザート系は明らかに少ないなって思った。


 そんな新しい発見を見つけて朝からとっても気分がよかった。

 駅のホームでいつもよりも長い電車を待つ列に並ぶ。


 この時から察していたけどこの時間帯は普段俺が電車に乗る時間よりも人が多いらしい。

 ぱっと見だけだとどこに入る隙間があるのか分からないくらいにぱんぱんに人が詰められている。

 俺はここに押し込められるのか……って絶望するけどこれが電車通学の避けては通れない道なのだと思って気を張り直して頑張ってつっこむ。


「すいません、すいません」

 もともといた人を押しのけて入っていく。

 そして電車が出発する頃にはムーンウォーク状態になっていた。


 上半身は人に押されてどんどん奥に行くのに下半身はほかの人の足が複雑に絡まりすぎて動かせない。

 そんな状態でつり革もなしに気合で耐える。

 後二駅。

 五分もあれば着く。

 そんな風に自分に言い聞かせて耐える。

 降りる駅に着いたところでどうやって降りようかなんて考えちゃいけない。

 とりあえず今は耐えることに専念しなきゃ、この体制の維持も出来ないから。



「くるしかった……。」

 周りの人に小さな声で謝りながらなんとか外に出てこれた。

 電車の中が人がいすぎて苦しいし、なんか熱いし、何よりも空気が悪い。

 だから辛かった。

 はぁ……。

 もう二度とこの時間の電車に乗らないって心に決めた。

 この時間の電車に乗るくらいなら一時間でもかけてでも歩いてきてやる……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る