第151話

 夜中、家で勉強をしているときに俺は気づいてしまった。

 テスト中、お隣の良子さんのテストを写させてもらえればいいのだと。


 はぁ……。

 それを実行してしまったら本当に俺は勉強をしなくなってしまう。

 今年はそれでもいいかもしれない。

 でも来年。

 再来年には進学・就職のための試験を受けなきゃいけない。

 そのために今は嫌だけど頑張って勉強を頑張る!



 将来何になりたいとかも決まってないけど……。

 今から勉強しておいた方がいいってのはみんな言ってること。

 だから頑張って勉強を進める。


 そして15分くらい経って一切進まない数学のワークに絶望する。

 授業で解けた問題なのに一人で一からやろうと思うと急に難易度が上がったように分からない。

 うる覚えな記憶を持って一行ずつ進めていくけど見覚えのない式の形になってしまって詰む。


 そんなことを何回か繰り返してから諦めて素直に答えを見る。


 三行目までは分かる、完璧に。

 その次の行。

 なんかマイナスがついてる。

 このマイナスがどこから出てきたのか分からない。


 この問題の解説を理解するのにさらに10分。

 こんなことをいつまでもやってても意味ないなって思ってしまった。

 解説の部分が薄すぎて話にならない。

 そしてさっきの気づきを得てしまってから頭が急に働かなくなってしまう。

「あーもうだめだ……。分かんねぇ……。」


 適当な床に寝そべって屋根に向けて声を発する。

 間違ってもこんな恥ずかしい言葉を隣の二人には聞こえて欲しくないからそこだけには気を使った小さな声。


「今日はもう寝るか……。」

 明日誰かに勉強方法を教えてもらおうと思って床に就く。

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