第148話
学食が美味しい。
そんなとても有意義なことを学んだ日の放課後は気分がいい。
それに……授業中に睡眠時間を確保したおかげでもう眠くもない。
勉強という忌々しい用事さえなければ夜まで遊び歩いてもいいなって思えるくらい。
今日はちょうどよく部活が休み。
いかにも遊びに行くに相応しいのに……勉強が立ちはだかる。
家に帰るとまずベットの誘惑が俺を襲う。
その誘惑に打ち勝っても、待ち受けるのは他の誘惑。
特に使い道はないけれど…なんとなく触りたくなる誘惑、スマートフォン。
時間がない時ほど手間のかかるものをやりたくなる料理。
とにかく何か理由をつけて勉強したくない。
椅子に座りたくないって思ってしまう。
家に着いた時間は夕方になる前だった。
しかし、勉強を始めたのは日が完全に沈みきってからだった。
自分でも自分の行いがバカであることは分かりきってるの。
余裕も一切ないのにこんなことをしていてどうするのかって。
でも誘惑に勝てないのだから致し方がない。
今日はこの誘惑と一緒に戦ってくれる友はいない。
ただ独りでの戦いになる。
のそのそとゆっくりと覚悟を決めながら席について参考書を開く。
まず大量の意味のわからない文字たちが並ぶ。
英語の参考書を開いてるのは表紙を見れば分かることだけど……内容は全く分からない。
例えばこの中に1行ドイツ語が混ざっていても分からない自信がある。
難解な日本語以外の文字。
文法も単語も何もかも違うこの教科において何か俺が分かることはあるのだろうか……。
そんな詰んでる現状をようやく直視した今日の夜中。
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