第147話

 朝、起きるとカップラーメンの匂いが広がっていた。

 昨日、眠くて、お腹が減っていて部屋の窓を開けた記憶がない。

 多分というかほぼ確実にそれが原因。


 けど……意外なことに胃もたれをしていなかった。

 あんな時間にカップラーメンなんて食べたから今日は地獄だと思ってたんだけど。

 若いって特権だな。

 目覚ましが鳴る。

 つられて時計を見ると学校を出る時間の10分前。

 朝ごはんも食べてないのに、今から着替えて出発間に合うかどうかの時間。


 ぎりぎりセーフ。

 駅のホームに着くとラストチャンスの電車がちょうど着いたところだった。

 当然の如くご飯なんて食べる時間がなかった。

 どこかのコンビニで買うでもいいけど……そんなめんどくさいことをしなくとも何よりも楽な方法がある。

 それは朝食抜き。

 めったにしてこなかったけどもまぁ食べなくても何とでもなると思ってる。

 今日は特別な時間割ではない。

 体育もない。

 そんなこの日に動けなくとも何の問題はない。


 学校に着いて朝のSHRを受ける。

 一限目を受ける。

 少し、本当に少しだけお腹が減る。

 二限目を受ける。

 結構、お腹が減ってる。

 三限目を受ける。

 空腹で倒れそう……。

 軽食を買いに初めての学食に行く。

 小綺麗で清潔感のある学食は人がいない。

 ポテトを100円で買って、500円の丼ものを予約してご飯の確保を終わらせる。


 四限目が始まると同時にポテトを食べ終える。

 そして始まった四限目はこれまでで一番集中して受けれたと思う。

 待ちに待った昼休み。

 丼ものは安いのにしっかりと量があって、かつ美味しかった。

 これからご飯を忘れた日は学食に行こうと思えるくらいに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る