第139話

奥の部屋はしっかりと汚れていた。

不衛生という訳ではないけれどただ荷物が散らかっていて多分画材的なものが棚を覆っている。

それでは飽き足らず一部床を侵食してしまぅている。

多分こういうときに使う言葉『足の踏み場もない』。


でもなんかこういう方がうまそうって思うのは俺がおかしいからだろうか。

「ちょっとぐちゃぐちゃしてるところだけど……汚れてなさそうなところに荷物置いておいて」

それだけ言うと作業をしに頼みの綱の先輩がどこかに行ってしまう。

どこに置いていいのかまったくもって分からない俺はとりあえず途方に暮れるしかない。

『がっちゃ』

戸惑っていて数分。

見学したときに説明をしてくれた女の先輩がドアの前にいた。

「大丈夫?」

俺が明らかに困惑しているのを見て取ってくれて助け舟を出してくれる。

「えっと……荷物を置く場所が分からなくて……。」

「あー……。さっきも違う人に言われたと思うけど本当に適当に置いておいていいよ」

「分かりました」

その辺に置いてあるバックに習って荷物のおいてないところに私物をまとめておいておく。


「改めてお願いします。」

荷物を無事に置くことができた俺は今、さっきの先輩二人に見つめられて自己紹介をしていた。

「はーい。お願いね。」

「なにをすればいいですか?」

「んー?なんでもいいよー。部室にある画材で使えるものは勝手に使っていいし、何なら来なくても顧問にも何も言われないから。」

部活とは何かをしなきゃいけないものだと思って意気込んでいた俺的にはものすごい拍子抜けする答え。

こんな部活があるんだって衝撃を受けた。


『部室にあるもの』を自由に使っていいと言われたけれども……部室があの惨状で何があるか分からない。

だからとりあえず俺は俺のやるべきことを部室の整理だと考える。

部室に入ってまず、地面に置いてあるものを整理していく。


塗った後の質感が特別な絵の具。

水性の物が不思議な感じに滲む凄い紙。

そんなお宝がいっぱいあったけれども、逆に意味の分からないものも多々あった。

不気味な人形だったり、ほとんど心霊写真の暗い祠。

過去の誰かが使ってた資料なのかなっとか思いながらとりあえず別にしていく。

そうして半分くらい片し終えるとドアが開く。

「おお!綺麗になってる。荷物置くスペースが増えた!」

入ってきたのは最初にここに案内してくれた先輩。

「これをひとりでやったの?」

「まぁ、はい」

「ふんー。おつかれ。明日はこの続き?」

「はい。とりあえず使いたい画材探しから始めようかなって思いまして……」


そのあと少し先輩たちと話して帰る。

1日が充実していた!

これが毎日とか楽しすぎ。

あー早く明日になってほしい。

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