第138話

 気合いをいれたのにも関わらず美術室の中を見ると誰もいなかった。

 まだ正式に部員になっていないのに勝手に部室である美術室に入るのに抵抗があってどうするべきか悩む。

 何秒か悩んだのちにとりあえず出直すことにする。


 どこで暇をつぶそうか悩んで、とりあえず教室に戻る道なりを歩く。

 階段をのぼって、三階で曲がる。

 そして一番近い教室が俺のクラス。

 ここに来たところで誰がいるわけでもないからすぐに引き返してゆっくり歩きながら美術室に向かう。

 誰かいてくださいって言うまったくもって下らない願いを願いながら歩いていてもすぐに美術室についてしまった。

 今回は中から物音がするから誰かはいると思う。

 それがこの間、説明をしてくれた優しそうな先輩がいいなって思いつつ、扉を開ける。

「こんにちは!」

「はーい」

 中からはのほほんとしている男の人の声が聞こえる。

 この間の人ではない人の声ではないのが分かる。

 そして奥から出てきたのは160センチジャストくらいの少しだけ平均身長に乗らない男の人。

 

「入部希望者?」

「はい!」

「じゃあ後ろの荷物置くところの説明するからちょっと待ってて」

 そんなことを言って自分の作業に戻ってしまう。

 しばらくというほどでもない時間待ってみる。

 

「お待たせ」

 自分の作業を中断してこっちの方に向き直ってくれる。

 そして奥の扉の方につれていかれる。

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