第136話

 久しぶりに話をする人との関わりが切れていなかった時の安心感はほかの言葉で形容しがたいものがある。

 そんな安心感の元、テストのことを思って全く安心できない授業を受ける。


 何一つとして分からないからどうにか指名されないことを祈るのみ。

 改めて、よくもこんな高校に受かったものだと感動する。

 入学時の偏差値では俺の圧勝だったのに、勉強をちょっとサボっただけでこれになる。

 全く嫌になってくる。

 

 そんなことを言いつつ俺は知っている。

 本当の原因は高校は言ってからの素行よりも中学時代の素行であることを。

 ……全く嫌になってくるけど、過去にばっかり文句を言ったところで仕方がない。


 つまらない授業を聞いているとそんな憂鬱なことを考え出して止まらないくなるからなおさら嫌だ。

 もう開き直って寝てしまおうか、そんなことを考え始めるとタイミングを見計らったように先生に指名される。

 当然意味が分からない。

「hasだよ」

 隣から小声で良子さんが教えてくれる。

「はずです。……ありがとう」

 答えを言ってから先生が満足して説明を再開してから良子さんにお礼を言う。

「全然いいんだけど……テスト、大丈夫そう?」

「……多分?」

 そんな会話をしてみる。

 授業中喋っている良子さんを見るのはこれが初めてだった。

 


 大半の人が寝ているほどつまらない授業で、先生の意味の分からない説明と良子さんの声だけが俺の耳に届く。

 ふっと目に入る窓の外の景色が真っ青な青空であることに気づいた。

 ひとつ、楽しいことを見つけると他にもいろいろ連鎖的に見つかるなってことだけを学んで、テスト範囲を何一つ学ばずにこの授業を終わらせてしまった。

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