第117話

衝動的に外に出たけれど、特に何も見つけられずに帰ってくることになってしまった。

理由は体が思ったよりも疲れていた。少し歩いただけで息を切らしてしまった。

やっぱり金曜日って辛い。明日の授業がないことが本当にうれしい。


……そう言えば明日休日じゃん。

何処か遊びに行きたい。けど相手も当てもない。


そう思いながら家に帰っていた時に携帯が鳴る。

大田君からの連絡だった。内容は『明日、二人で遊ぼうとのこと』

タイミングが完璧だった。あまりにも完璧なタイミングのせいで特に何を考えることなくOKの返事をしてしまう。

まさか……あんなリア充テロに遭うとも知らずに。



次の日が楽しみで寝れない、俺がそんな小学生みたいなことをするはずもなくちゃんと眠った。ただ大田君と二人なんて久しぶりのことだから楽しみで、一時間に一度くらい目を覚ましただけで。

何が言いたいかというと眠い。ただただ眠い。

「おはよう」

「うぃ。行こうぜ」

会うと同時に移動を開始する。もう目的地が決まってる、というのは昨日あらかじめ聞いといた。そこは大型ショッピングモールらしい。

大田君が買い物なんてできな…しなそうなのに買い物に行くみたい。


最初にたどり着いたのは服屋。大田君と反対の位置にあると言っても過言じゃないおしゃれな感じのお店。

家を出たときからの違和感が形になってきた。

「もしかして……今日は大田君をおしゃれにするんですか?」

「ぁ?もちろんそうに決まってんだろ」

「大丈夫ですよ。見ようによってはおしゃれですから」

坊主にスカジャン。見ようによっては素敵。

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