第116話

楽しくて、テンションが高ったのも束の間。一人が寂しくなってくる。

最近はいつもいつも壁の向こう側の声が気になる。


テンションが高ったときには気にならなかった時の『切り離されてる感』。この部屋で生活しているとどうしても外が気になってしまう。

それは多分しょうがないんだと思う。友達がいなかった時の寂しさよりはマシ。だからと言ってとてもじゃないけど心地のいいものじゃない。

隣のイチャイチャしてる声、隣の仲のいい親との会話。悲しいくらいに俺のお隣さんは人生を満喫してる。


俺はマイナスじゃない。ただ、周りがプラス過ぎるだけで。

俺はマイナスじゃない。そんなことを自分に言い聞かせるように心の中で唱え続ける。


悲しいほどに周りが幸せそう。羨ましいというほどではない。


気を紛らわすために間にかをしていたい。でもすること、できることなんて何もない。強いて言えば何があるかわからないから持って帰ってきた勉強道具。それが目に入ってくる。悲しいほどにそれしか目に入らない。



ゲームもなければ当然話し相手がいるわけでもない。どうしようもないくらいに暇。

勉強はしたくない、何もしなければ悲しいことが頭にうかんでくる。

ここ最近で一番最悪な悪循環。何もしなくても地獄。唯一できる勉強をしてても地獄。どうしても地獄。

生き地獄ってこういうことを言うんだって分かる。


もうめんどくさいけど…外行くか!

もしかしたら何かあるかもしれない。例えば美味しいパン屋を見つかられるかもしれない。もしかしたら楽しい人との出会いがあるかもしれない。

そんなポジティブなことを考えながら靴を履く。

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