第114話
デッサンの時間が終わったら、次は部員同士で作品を見せ合う鑑賞会になる。
今日は全員が同じモチーフで書いた。それなのに右下に飾ってある良子さんの作品はとてつもなく目立っていた。
右下に飾ってある作品以外にも異様な存在感を出している作品があった。
左上の作品。案内、というか部活の説明をしてくれた人の作品がいい意味でとても目立っていた。
その二人以外は目立っていなかった。見た目は当然違うんだけど、絵が発する空気がチープ。全員がちゃんとうまいんだけど、全て説明をしてくれた先輩に飲まれてしまってるだけで。
そんなすごい人と活動できるなんて、俺は是非ともこの部活に入りたいと思った。
「じゃあ一通り作品見れたねー?特に目についた作品を教えて欲しい。まず、この右上の作品。」
亀谷君だけが手をあげている。本人は自分しか手を挙げていないことに気づいて挙動不審になっている。そして右上に飾ってあった作品を描いたと思われる先輩は喜んでいた。
「はい、ありがと。次はこの右下の作品」
…誰も手をあげない。
そんなことが繰り返されて最後に右上の作品で終わり。
「この右上の作品がいいと思った人ー。」
亀谷君と自分の作品に票を入れていた先輩以外は全員ここで手をあげた。
「楽しかったです!」
帰りは亀谷君と良子さんと帰った。俺は亀谷君が良子さんと話したことがないかなって思って亀谷君と帰ろうと思ってた。でも亀谷君が良子さんを誘って今の良子さんがめちゃくちゃ緊張している事態になってしまっている。
あー。帰りまで楽しい。
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