第111話

昨日の予想通り、浮かれたまま学校に登校する。


昨日、約束した部活。美術部に行くのが楽しみで学校に早く着いてしまった。

これは授業がまともに受けられないわ…。……。初めてのテストまであと一ヶ月くらいじゃん。

まあ多分大丈夫でしょう。中学でも大丈夫だったし。そんな余裕がある。


油断しかないことを考えていると、いつの間にか教室についている。駅までは記憶があるけれど……そこからの記憶がない。まあ記憶がなくても支障なんぞないからどうだっていいんだけど。


「おはよう」

朝、学校につくと亀谷君が自席にて一時間目の準備をしていた。だから声をかける。

「おはよう。今日の放課後が楽しみですね。」

「はい。楽しみです」

それゆえにこんなにも早く、学校にきてしまった。来ようと思えばあと一本遅い電車でも間に合ったけど、気がはやった。


「で、ここをこの式に入れるとどうなる。太田、答えて見ろ」

「……。言ってる意味が分かりません」

教室に笑いが起こる。中学の範囲の応用でさっきまで先生が何度も何度も丁寧に説明していたこと。それを一言で片づけられてしまって、固まってしまっている。


そんな可哀想な先生を見たり、将来何の役に立つのかもわからない公式だったり、知識を頭の中に詰め込んで、放課後になったらその知識をすべて無くして遊び惚けるというのにも関わらず今だけでも頑張って覚えておく。

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