第110話

「すごい」

軽音楽部の見学会にて演奏を聴かせてもらったけどかっこいい。凄いとかの言葉しかない。迫力が凄くて、余裕を見せつけてくる感じが凄い。

「すっご」

亀谷君も同じ反応しかできてない。この演奏を聞けばそうなると思う。吹奏楽部には出せない迫力があった。

なんどでも同じことを言うことになってしまうけど迫力が凄かった。


「うぃー。おつかれ!」

一演奏が終わってからさっきまでの真剣な空気はどこかへ行ってしまって和やかな空気で会話が進む。

「見学の一年生、二人。今の演奏聞いてどうだった?」

「最高にかっこよかったです。」

亀谷君と言おうとしていたことがかぶってしまった。


そんな会話の後は即興の演奏とかを見せてもらって気づくと一年生は帰らないといけない時間だった。


帰る準備をしてからバックを背負って下駄箱まで一緒に歩く。

「軽音楽部の見学、楽しかったね」

「ほんとに楽しかったですね。……でも俺は軽音は見るのが楽しいのかなって思ちゃって…なので多分入らないかな~感じですね」

「そうなんだ……じゃあ明日は違うとこ行く?」

亀谷君は軽音に入りたいんだな…、じゃあ部活は違くなっちゃうかもなー…。

「明日の部活は…ここ行きたいです。」

俺が指を指したのは美術部。理由は美術室の前に飾ってあったポスターが印象的だったから。真っ黒に塗りつぶした背景にいろんな色で人型を作っていたポスターが忘れられない。

それに顧問の先生が優しそうだったから。


「じゃあ明日はここにいこうか」

「はい!」

そんな約束を取り付けてしまったから、また授業がまともに受けれなさそうだな…そんなことを思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る