第109話
ドラムの音がとても大きく響き、ベースギターの音が響いているこの空間では人の声など簡単に打ち消されてしまう。
だから先輩と思わしき人が何かを言っているけれど当然の如く聞こえない。
「あーお待たせ。」
五分も待たずに演奏が終わってしまった。演奏の感想はとにかく迫力が凄い、それだけ。でもその迫力は吹奏楽とかじゃ出せないものだった。
それに噂程度で聞いたことによれば、笛って音出すの難しいっていうじゃん。それに比べて音が出しやすそうだから吹奏楽よりもハードルが低そうでいい。そんな偏見をこの演奏から感じた。
「僕はね、この部活の今いる人で一番偉い人。橋本って言うんだけど見学ってことでいいよね?」
亀谷君と顔を見合わせてから「はい」と答える。
「じゃあこの部活の説明を軽くしたいんだけど、演奏が始まっちゃうと、ここ何も聞こえなくなっちゃうから外に出ようか。」
そう言って橋本さんが扉を開けてくれる。
「じゃあ説明を開始するね。まずこの部活は基本的に文化祭に向けて練習してるのと、一部のもの好きたちがYouTubeとかに動画をアップしてる。一応学校には正規の活動として認められてるからやってもやらなくてもいいって感じ。あ、紙を渡さないと…」
そう言って差し出されたのは青色の紙。
「詳しいところとかわからないところとかはこれを読んでもらえば分かると思うよ。で説明の続きをするとこの部活って二つに分かれてて、休日練とかもするYouTube投稿もするグループ。
それにあと一つが文化祭に向けてゆるーく活動する部活。どっちにも対応してるんだ!」
そんなことを自慢げに語る先輩は誇りのようなものを感じた。
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