第99話
「…亀谷。」二時間目の授業で亀谷君が先生にさされた時に顔のあとについて何か言われるかひやひやしたけど、この授業も寝ていてそのことについて言われたせいで顔のあとについて何も言われなかった。触れないことがいいことじゃないし、でも触れると傷つけてしまうかもしれなくて悩む。けど、結局傷つけたくない一心で指摘しないことを選んでしまう。
「亀谷君。寝てないんですか?」ここ2時間目続けて寝ているから流石に気になってしまった。「あー授業聞いてると眠くなんない?」「なります」「そうなんだよ。だから寝てない訳じゃなくても眠るんだよ」そんなくだらないことを力説された。ただ俺だけじゃなくて学生全員が説得力を感じると思う。
だって気持ちが分かるもん。特に嫌いな授業はやばい。ほんとに眠いから。「家でも9時間は寝てるけどやっぱり授業は寝てたいんです!」さっきよりも大きな声でそんなことを言われたら本当にそうなのか、授業は寝るものなのかっていう気持ちになってくる。
チャイムが鳴って三限目が始まった。そうすると二日目にしていつもの光景と化した亀谷君が机に突っ伏す姿。ここまで徹底してすべての授業で寝ているとさっきの話の説得力があるし、なんかここまでの度胸があるのってかっこいい気がする。
でも着々と成績が削られているはずだから真似はしたくないけど…。ってかこれ普通起こすよね。でもあそこまでの覚悟を持って寝てるのに起こすのは気が引けるな…。最近亀谷君に亀谷君の知らないところで亀谷君に悩まされる。…まあ勝手に俺が悩まされてるだけだけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます