第98話
さっきの授業ではしっかりと勉強していこうって決めたからって急に眠気が何処かに飛んでいくわけではなくて、今も眠気と戦っている。正直、眠くて机に頭をぶつけそう。
先生が何かの呪文を唱えてるけど無視。俺は今、この睡魔に耐えることが優先。
「えっとではこの問題を…大通君答えて下さい」自分の名前が呼ばれたことで一瞬で意識が覚醒したけど…問題を聞いてなかったから分かるわけがない。「…分かりません」ちなみに問題も分かりません、そんな言葉を口の中にとっておいて一部分だけ都合よく口に出す。
「えっとこの問題の考え方は…」そんなことを話しながら黒板に問題を書いて教えてくれる。
…多分理解した。「じゃあ改めて大通君。」「…4です」
そんな感じでどんどん授業が進んでいく。隣を見ると良子さんは寝ていなかった。めっちゃ真面目にノートを取ってる。数学みたいな理系科目が好きなのかな。
教室を見渡してみると、取手さんは爆睡、大田君が船をこいでるくらい。あとの人は知り合いじゃなかったから印象に残らなかった。それでも教室全体を見渡してみるとさっきの授業よりは起きている生徒の数が多い。起きている人はノートを結構な勢いで取ってるから数学が好きなんだと思う。
「大通君。ここの問題分かった?」小声で良子さんに聞かれた問題は俺が今解いていた問題。ちゃんとした答えが出てるから多分あっていると思う。「分かったよ。手伝う?」「お願い」そうして夢中になって問題を教えていると授業が終わるチャイムが響く。
休み時間、とりあえず亀谷君と話そうかなって思って前の席の背中を叩く。「大通君。どうしたの?」「…顔痛くないの?」亀谷君の顔には服のしわがついていた。「何が?」「…気づいてないならいいです…。」俺には本当のことを言う勇気は出なかった。
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