第94話

「いい~気分転換に~なりました~」「はい!また来ましょう」カラオケの前で次の機会の話をする。なんてカラオケが好きなんだろうか。正直俺は今日ので満足というか自分の音痴さに絶望した。

「大通君、楽しかったですね」「忍君も~楽しかった~よね~」「「楽しかったです」」圧を掛けられれば心の中とかどうでも良くて『yes』というしかないというのが辛い。

まあ良子さんと一緒にいるのは楽しいからいいんだけど。


のんびりと帰路につく。取手さんは今日も大田君の家に泊まるみたいで道が一緒。

みんなで通行人の邪魔にならないように注意しながら話す。今日のテストから始まって、今はチョコの話をしてる。そこまでの経緯はよく分からなかった。

何も考えずに会話を楽しんでたらこんな感じに話題が大きく変わってしまっていた。


「これから暑くなってくるね」「辛いですね~。想像~しただけで~溶け始めちゃいそうですね~。」知らなかった。北海道だからって油断してたけどこっちも暑くなるんだ。地球温暖化の影響とかかな…。



「じゃあね」話すのが楽しくてすごい盛り上がっていたらいつの間にか家まで来てしまっていた。家が近いとは言っても家が一緒な訳じゃないからそれぞれの部屋の中に入っていく。


「急に静かだ…。」さっきまで街の賑やかさだったり大田君、良子さん、取手さんと話してからそれが余計に静かに感じさせられる。

弱音をはくと寂しい。こんなに話していて楽しい。一緒に居たいっていう人は初めてかもしれない。時々遠くから聞こえる車の音だったりバイクの音と時計の針が動く音が聞こえて寂しいっていう感情が助長されていく。

いくら隣だと言ってもさっき別れたばかりで会いに行く理由が思いつかないから会いに行けないのが辛い。


…とりあえず動くか!動いてるときって何も考えずにいられるからこういう時に便利。えっと…格好は流石に着替えるか。制服を着ていたから動きやすい服装に着替えて靴を履いて準備はオッケー。靴紐をいつもよりも硬めに結んで絶対に止まらないという意思の下ランニングを始める。


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