第89話
携帯が着信を知らせてくれる。
亀谷君からの連絡が来たかな?『夏休み、そっちに遊びに行くね』未読無視してた弟からの追加の連絡がきた。流石に二つも文を送ってるのに未読無視するのは酷いなって思うから既読を付けて連絡を返す。
『何人で来る?』どうせ止めてくるんだから歓迎した方が俺に負担がかからない。送ると同時に既読がついてすぐに連絡が帰ってくる。『二人。彼女と北海道観光』生まれてから友達を作るのにも苦労してる俺と違って同じ環境で生まれたとは思えないほど俺の弟はコミュニケーション能力高かった。だから友達とかも不思議なくらいにはいたし、彼女ができたって言っても信じられるのが尚更悔しい。『じゃあ部屋は用意しておいてあげる』唯一の関係の崩したくない身内だから歓迎しない訳にもいかないし、部屋を整えるのだって部屋が余ってるからそこまでの手間じゃない。『ありがとう。ご飯とかってお兄ちゃんの家の近くって食べれるところある?』『歩いて15分かからないところにある駅とか、バス使ってすぐのところにラーメン屋とかなら』『OK。じゃあ自分たちでどうにかするわ』『じゃあご飯の何も準備しないからね』『寝る場所さえ準備しておいてくれれば』
そんなまだずっと先の夏休みの予定をたてているともう11時になっていた。亀谷君からの連絡がこなくて落ち着かないでとりあえず亀岡君のアイコンをタップしては意味もなくスクロールしてホーム画面に戻って、というのをずっと繰り返していた。
そうして20分と少ししてから要約既読がついて連絡がきた。『連絡遅くなっちゃってごめんなさい。明日の持ち物は合格発表の時に配られたワークとなんかの集金だったと思うよ』…ワーク…?集金は憶えてる。修学旅行の積み立てとその他色々のお金でそれは俺の財布じゃないところにいれてずっと前から準備してきたから。でもワークの提出、というかそもそもワークの存在を知らなかったんだけど。合格発表のときは安心のあまりぼっーとしてたし、今日のHRに至っては全くと言ってもいいほど話を聞いてなかったから自業自得の一言で片が付いてしまうのが悔しい。
後悔なんてしても始まらないからまずはワークを探さないと。
ワークを探し始めて三十分。この部屋にはまだ物が少ないし、合格発表でもらったものを全て違うところに入れてたからすぐに分かった。でも…このワーク凄い厚い。一センチは厚みがあるんだけど。終わんねー。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます