第86話
「良子さん誰と電話してたんですか?」良子さんの電話が終わってからどうしても気になったから聞いてしまった。
プライベートの詮索は気持ち悪いって思われるって分かっていても好奇心に打ち勝てなかった。
「ただお母さんに大通君がご飯行くねって電話して伝えてただけなので全然気にしなくて大丈夫ですよ。」好奇心で聞いておいてなんだけどプライベートなことじゃなくて良かった…。もしプライベートのことだったらなんて言っていいか分からなくて気まずい空気になるところだった。
というかもう連絡しちゃったの。てことはもうしけないってことじゃん。ひくきもなかったけどここまでくるとほんとにプレゼントを渡さないとって気になってくる。良子さんのプレゼントと比べられるの嫌なんだけど。
緊張しすぎてネガティブになってくる。ここまで緊張してくるのか久しぶりなんだけど。受験の合格発表と同じくらいに緊張する。人にプレゼントを渡すのってこんなにやばい気持ちになるんだ…。さっきも同じような事を思った気がする。
緊張の所為で良子さんと記憶に残らない会話をしながら帰宅する。
渡すタイミングやらなんやらは多分分かってると思う。まあ、悲しいことにそれも緊張しすぎてよく覚えてないんだけど…。
「ただいまー」「お邪魔します」良子さんの家についてしまった。冷汗がだらだっ
ら。
プレゼントを渡すのはご飯を食べ終えてからという話なのに今から冷や汗をかいてたら身が持たないっていうのに、どんなに緊張をほぐそうとしても逆に意識しちゃって余計にひどくなっちゃう。
「おかえり。大通君はいらっしゃい。大通君、大丈夫?」冷や汗をかきすぎてて善子さんに心配をかけてしまった。「ホントだー。大通君、大丈夫?」同じ状況なのに平然を装えてるのが凄い。まあ、よく見るとちょっと冷や汗をかいてる。
二人ともの様子がおかしいことが善子さんにはバレてると思うけど、指摘しないでいてくれてる。
そしてこの日もなんかいろいろ豪華だった。美味しそうな唐揚げ、ポテト。それになんか厚いお肉。だけどこの後に控えるプレゼントを渡すという一大イベントに気を取られて味がわからなかった。…先に渡せばこの豪華な夜ご飯を味わって食べれたのかな…。
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