第84話
「…元気ない?」多分俺の体が干からびそうなほど汗をかいてたから心配して声をかけてくれたんだと思う。
ただそんな気遣いすら今の俺にとっては些細すぎるあったら嬉しいけど無くても大差ないって言う失礼極まる感じな気遣いなレベルには追い詰められてる。「いや多分ダメです」「…一旦外に出る?」「えっととりあえずお店の外の値札の見えないところで頭押さえときます。」
そう、今俺がいるのは謎の高級店。謎の小さな小物で一つ5000円なんて当たり前。桁が2つ違うものもちらほら置いてあるお店にいた。
そんなところにいたらHP がゴリゴリと削られてって今は瀕死状態。ゲームとかの表示ならHPの欄が赤く点滅しているイメージ。
それだけのダメージがあるくらいの値段だった。
流石に良子さんも手軽に手の届く値段じゃないらしくお菓子屋さんではパッパッと選んでいたのにここだとだいぶ悩んでいる。
「大通くん。もう回復しましたか?」「…は、はい。なんとか」「なら、プレゼント選ぶの手伝って貰えませんか?」「そのくらいなら全然いいですよ」強がってそう答えたけどまたあのマジで高いあのお店に戻るのか。やべえ思い出しただけでもHPが削られ始めたんだけど。
買い物終わるまでHPが持つ気がしない。
「これとこれ、どっちの方がいいと思います?」そう言って見せられたのは俺からすると違いの分からない謎の小瓶。
「これって何に使うんですか?」「?ただの置物ですよ?」値段はギリ四桁に収まってるくらいの値段。つまり9000円強。
…値段を見たらより責任の重さを感じてきちゃった。適当に選ぶなんてことをするつもりはなかったけどより選ぶのが怖くなってきた。
まずは違いを見つけるところから始めよう。
良子さんが右手に持ってる瓶は中身が青色と赤色、白のビーズみたいなのが底に敷き詰められて上にレンガ作りの家が乗ってる構図のミニチュア。
左手に持ってるのは淡いピンクとしっかりとした色の赤、それに白が入っていてその上に二人の人が立っているミニチュア。
…これが9000円強ってよくわからないわ。
でも善子さんに似合いそうなのは左手に持っている方だと思う…多分。
「左手に持ってるのの方が善子さんに似合ってませんか?」「だよね!私もそう思ってた。よし、買ってこよう!」…えー決まってたなら俺必要だった?とか思うけど決して口には出さない。ただ思うだけ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます