第81話
目の前でパチパチと油が跳ねる音をたてる餃子。これはなんでこんなにも食欲をそそってくるのか…。ご飯も輝いて見えるほどに粒のたった白米。これでお腹が減ってこない人はなかなかいないと思う。
「…ねぇ、お母さん。もうそろそろ食べれそうじゃない?」「まだでしょ。そんなにお腹が減ってんの?」良子さんがお母さんに質問して呆れられてる。でもその気持ち超分かる。これは一刻も早く食べたいもん。お腹が減っている時なら尚更。
…この料理に対する感想は必要か。正直感想をいう時間さえ惜しい。
これは…本当においしすぎる。嚙むほどに溢れる肉汁。程よく効いたニンニクとニラ。もちもちとした皮。「美味しいです」「涙を流すほど?」「はい」言われてから気づいたけれど俺は泣いているらしい。これだけ美味しければしょうがない。
感動しか出てこない。
「ご馳走様です」気づいたら食べ終えてしまっていた。最もこのうまさを堪能したかったけれど気持ちに反して体はお腹っいぱいで動きずらいくらいだから食べ過ぎてしまったんだと思う。それでも炊飯器の中のご飯は空じゃ無かった。今日どれだけご飯作ったん?って思いたくなるほどご飯炊いてたな~。まあそれで俺がご飯にありつけてるから有り難い話なんだけど。
「じゃあそろそろ遅いので…」洗い物を無理をいって手伝わせてもらってから帰る準備を始める。「あ、大通君。ちょっと話しておきたいことがあるんだけど今いい?」「いいですけど…何処で?」「屋上」「分かりました。」…何の用事だろうか…。特に心当たりがない。相も変わらず足音が響きまくる階段を登って、綺麗に見える星が見える屋上に行く。
「大通君…。」「なに?」「えっと明日、お母さんへのプレゼント選ぶの手伝ってもらってもいいですか?」「え、全然いいですけど…何か特別な日なんですか?」「明後日、お母さんの誕生日です」「じゃあ誕生日プレゼントを見に行く感じですか?」「はい」
一緒に行きたいお店を話し合って、と言っても特に俺が言えることなんてなかったから最初から最後までyesmanだったけど。
それでも結局行きたいお店は決まったらしい。…放課後の寄り道なんてするの初めてだ!明日が楽しみになってきた。
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