第80話
「はぁ~疲れた。」今が5時で家を出たのが7時だからたった10時間ぶりだっていうのに久しぶりに感じる。
これからどうしようかなぁ。いろんなことがありすぎて疲れた。だからかご飯を自分で作るのすらめんどくさい。
そんな悩みを持ちながら広いとは言えない風呂の準備を始める。風呂の栓をしてから水を張る。いつもは水道代の節約のために張らない湯舟だけど今日は高校の入学式だから特別贅沢をする。
折角こんな日なんだから何か特別な日にしたい。この後出前も取っちゃうもんね。何を頼もうか…寿司は高くて手が出ないし、何かこってりとしたものが食べたい。今のこのお腹の空き方は寿司を少しだけ食べただけだと足りない。
久しぶりの湯舟を堪能してから手ぬぐいを首にかけて首に滴ってくる汗と風呂の水を服につかないようにしながらチラシを漁る。
「なんかいい出前あるかな~」出前、テイクアウトの王道、ピザ。それにピリッと辛くて、体を芯から温めってくれる中華系か、しっかりとした味付けで甘い感じの洋食系か。今は和食の気分じゃないから止めと…このちらし寿司と味噌汁のセット美味しそう。それにこの炊き込みご飯も。あ~更に沼にはまっていく。どうしようかな~。出前のチラシだけを毎日別にしてから種類がありすぎて困る。
『ピーンポーン』出前のチラシをにらみながら悩んで早五分。注文もしてないのにインターホンがなった。「は~い」微妙な時間なのにな~とか思いながらドアを開ける。「大通君。こんばんは。一緒にご飯どうですかってお母さんが」良子さんがいた。「いいんですか?今日、人生に一回しかない特別な日ですよ。俺みたいな部外者がいて」「全然大丈夫だし大通君は部外者じゃないよ。」優しさが染みる。「じゃあありがたくご飯食べに行かせてもらいますね。」
出前のチラシを見てた時それなりにきちっとした格好をしてたからすぐに食べにこれた。「お母さんー。大通君来てくれたー」「ほんとー。賑やかになるわ~」「お邪魔します」「あ、こんばんは~。入学式おめでとー」「ありがとうございます」「良子と隣の席なんでしょ~。この子なんか恥ずかしがり屋だから仲良くしてあげてね~」
こんな感じで会話を楽しみながら献立を予想する。
…揚げ物の音はしない。だけど何か香ばしい匂いと確実に何処かで嗅いだことのある匂いがする。お腹が減ってきた。「もうお腹が減って限界って顔してるからご飯にしようか。大通君、今日のご飯はなんとね、餃子。私のおすすめのお店のやつだから美味しさは保証するよ」!餃子。久しぶりに食べるな~。楽しみ過ぎる。
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