第79話
迷いに迷ってたどり着いた細い路地から出ていく。「たどり着けた…」ここに来るときに見た駅前が広がってて心の底から安心した。これで見た先が見知らぬ路地とかいう落ちは辛すぎる。「あ~良かったー。たどり着けた~」「一時はどうなるかと思ったですけどどうにかなって良かったです」「ごめんね~。こんな回り道につき合わせちゃって」「全然大丈夫なんですが、朝ってどうやって学校まで行ったんですか?」「気合い!と同じ制服の人の後ろをついて行ったら付けた。」…これ気合だけでどうにかしたやつだなって言うのが何となく分かる。
「どの電車乗ります?」「私は…多分これだと思う」そう言って一番近くの電車乗り場を指を指している。…心配過ぎる。「ついていきますか?」「いいよ。悪いし。ここまで一緒に迷ってくれただけで十分!」「…そうですか。じゃあ頑張って帰ってくださいね」「うん。じゃあね」腕を振ってくれてるのに返しながらうちの方に行く電車が止まるところに歩いて行く。
…結局名前教えてもらってないじゃん。まあ今度でいいか。
「ママ。テレビ塔だよ!」子どものはしゃぐ声を聞きながらのんびりするぐらいしかやることがない。…他の電車通学の人ってどうやって暇つぶしてんの?今後の参考にしようにも学生と思われる人がいない。「あのテレビ塔の上の雲、ライオンに見える!」何気なく見るとほんとに吠えてるライオンに見える奴だった。「お~凄」つい言葉が漏れてしまった。その声は人がいないこの電車では周りの人にもしっかりと聞こえてしまうぐらいには大きくて、さっきまで一緒に話してた子どもとお母さんと目が合ってしまった。なんか熱いわけでも無いのに汗がだらだら出てきた。気まず。
今度かあらは電車内で暇つぶせるものを持っていこう。
結局あの次の駅であの二人が下りてくれたけどあれ以上あの空気には耐えられなかった。まあいい反省になったからまあいっか。
明日の通学の時に暇をつぶすものを妄想しながら家に帰る道に着く。…この道で正しいといいけど。さっきまで迷いに迷ってたから怖くてしょうがない。
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