第76話
道に迷って早二十分。未だにどこが下駄箱なのか分からずにさまよってる。人に会っても皆忙しそうで聞くタイミングがない。
最悪窓から出て外から昇降口に行けばいいから焦らなくていいか。
部活のやってない階段を選びながら下に行ってたらいつの間にか体育館の前まで戻ってきた。「そこ、どいてー!!」「は、はい」こここそ忙しさの頂点だった。入学式で使ったと思われるパイプ椅子を運んで走ってる。ただ手が全然足りてないようで体育館の入口のところに椅子の壁が反り立ち始める。「あの、手伝っていいですか?」これ終わったら下駄箱まで案内してもらいたいなっていう打算のもと手伝いを申し出る。「まじで?。お願い」
この時俺も相手の方も相手の顔を見る余裕がなかった。だから知り合いだったなんて思わなかった。
ひたすら椅子を運んで会議室の椅子置き場に戻していくという単純な作業だった。「ヨイショ!」入学式の時にやってしまった腰を気にしながら椅子を五個づつ持ち上げる。その後軽く走りながら会議室に持っていく。その後そこを担当している人に渡して体育館に走る。これをずっと繰り返す。
三週目に入ったときに気づいた。なんかクラスメート、何なら良子さんと話してた紫色の髪人がいるじゃん。向こうは忙しすぎて気づいてないr「あ!入学式で腰痛くなっちゃた人だ」これ以上に不名誉な称号はあるだろうか。このままだとクラスでのあだ名が腰痛になってしまう。
「…こんにちは。」ただ腰痛を起こしたことは事実なので否定しづらい。「なんで挨拶から~。ウケる~」
「そこの人たち!話してないで仕事してー!」「は~い。じゃあ、またねー」「またねー?」会議室に走っていく姿を見てから椅子運びの続きをやるために体育館に向かう。「全員後五十個で終わるぞ~」…果てしないとか思ってしまった。「おお~!!」後ろや目からは歓喜の声が聞こえるから多分楽なんだろうな…全然そんな気しないけど。
とりあえず十脚の椅子を持って会議室に運ぶ。ついでに時間を見ると帰りの会?が終わってからまだ1時間しかたってなかった。体感2時間ぐらい迷ってたと思ったけど気のせいだったらしい。
「あ!腰痛のひと。あたしこれでラストだから待ってて。一緒に帰ろ」これは自然に案内してもらえる感じ?「分かった。どうせなら会議室まで椅子半分だけでも持つよ」「ありがと。感謝、感謝」
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