第69話
「良かったですね。皆一緒のクラスで」そう皆で見に行った結果全員が同じクラスも7組に集中するという奇跡が起こった。もしこれで俺だけ違うクラスだったら自分クラスより大田君のクラスにいる時間の方が長くなるところだった。
「あ、大通君隣の席だね。改めてよろしくお願いします。」「お願いします。」隣の席が良子さんなだけで学校にくる価値がある。「大通と席が近いのはいいな。何かあった時に盾にして逃げれる」俺のひとつ前の、自分の席からそんなことを言っている。何から逃げるのかは言うまでもないことだろうけど、俺を盾にするのは止めて頂きたい。だって俺だって怖いもん。あの人は。
「信良ちゃんはそんなに怖くないですよ」「いいや。あいつの怖さを知らないからそんなことが言えるんだ」取手さんの席が離れていることをいいことに言いたい放題にしている。ただしっかり聞こえてるらしくてヤバい目でこっちを見てきてるけど。
回りが時間が経つごとに静かになっていく。「はーい。これから最初のSHRを始めます」身長はそれ程高く無くて髪も長くもなく短くもない。全体的に特徴の薄そうな男の先生だった。「ではこれから名前の順に並んで、体育館に行きます。えー席の順が名前の順なので協力しながら頑張って下さい。」あ?いきなり丸投げかよ。キレそうになっちゃったけどこういうのも義務教育との差だと思って、従う。
廊下で並ぶらしいけど俺の周りだけ誰もいない。正確には俺と大田君のところだけだけど。あの取手さんですら仲良さげに話してるのに…。はぁキツイ。名前の順だと良子さんとはそれなりに離れてるから話せないし。
「辛い。」「な。大通、担任の名前予想して遊ぼうぜ。五十音順で近い方が勝ち」
「いいですけど難しくないですか?」「そんなことないだろ。じゃあ俺は高橋だと思う」「俺は…佐藤で」下らない遊びをしながら並びを整える。「整ったな」どうやって並んでいるのか分かるようになったのを確認して先生が声を掛ける。「じゃあついてきてください」そう言っていた先生の後についていくと大きな体育館があった。それこそ千人が一気に入れると言っても信じられるぐらいの広い体育館。「おー広っ」太田君が声を出して驚く程度には迫力がある。
「それでは一年生の入場です」高校の入学式とは思えない言葉で入場が始まる。俺らのクラスは後半だからまだのんびりしてられる。
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