ようやく始まった、学校が

第67話

緊張の朝がきてしまった。

そう今日は高校の入学式。緊張の一日が始まった。


受験の時も通ったはずの場所を通ってるはずだけど季節が違うからか、受験の時とは緊張の度合いが違うからか全く覚えのない道だった。同じ制服を着ている人も何人かいる。


今は俺一人で電車に乗っているところ。大田君は取手さんの家から通い、良子さんはお母さんのバイクに乗せてもらうらしい。一緒には乗れないから走ろうとも思ったけど初日から汗をかいた状態での登校はいやだったから諦めて電車で登校している。

周りも大体一人とか二人での登校だからボッチ登校でも目立たない。


とりあえず駅に着くまで暇だから素直に窓の外を眺めて待つ。「あ、あそここの間見て通った気がする」この間テレビ塔を見に行った帰りに見た道が見えて感動しすぎてつい声が漏れてしまった。通勤途中のおじさんに危ない人を見る目で見られてしまった。…こういう時に大田君とか良子さん、取手さんがいてくれたら話の話題に繋がったんだけどな。

一人でいることを寂しく思えるぐらいには自分以外と過ごす時間を楽しく、大切に過ごすことができてることを今更ながら感謝しつつ、浸るほどもない思い出に浸っていたらもうついてしまった。この間は緊張のせいで全く見れてないかった景色を見れたから一人だったけど有意義な時間だった。

「おーい、大通。クラス一緒かどうか見ようぜー」学校に着くと前から聞き覚えのあり過ぎる声が聞こえてきた。「忍君~、周りの~人に~迷惑ですよ~」「相変わらずいかつい顔ですね」「あ?」冗談が言える関係になったのは大きな成長と言っても過言ではないはず。「取手さん、おはよ。」「大通君~すいませんね~。忍君のせいで~入学式前から~既に~悪目立ち~させちゃって~」そんなことを取手さんが言うので周りを見てみると一歩引かれて観察されてた。魅かれてって漢字ならうれしいのに引かれてって言われると悲しいのは何だろう。辛い。悲しい。

高校こそは友達を100人作ることが目標だったのに一気に難易度がハードになった気分。


まあこんな感じで多様多種な現実逃避をしても何も解決にならないことは中学時代ボッチで過ごしてた俺には分かる。

はぁこれでみんなと違うクラスだったら寂しすぎる。


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