第64話 恋人との付き合い方への理解度0×0=マイナス

地上からそれなりに高いところにあるはずの窓がなった。

「はやく開けろ。ここ寒いんだよ。」そう言って怒鳴る声は大田君のものだった。「大田君、どうしたんですか?」「ただ信良と喧嘩しただけだから気にすんな。それよりも早く窓開けろ」窓を開けるとベランダの柵に寄りかかっている大田君がいた。良子さんもだけどなんでそんなに身を高いところから乗り出せるんだろう。というか強がってるけど本当に寒そうだからさっさと窓を開ける。

「なあ、聞いてくれよ。今日信良がうちに来た時にTシャツ着替えてたら文句言われたんだよ。俺の上半身なんて何十回も見てるのにだぜ?それで喧嘩になったんだが大通はどう思う?」俺の部屋に入ってすぐの恋愛相談。何を聞かれてるのか分からないけどここまで困っている大田君は初めて見る。「大田君の上裸に興奮したんじゃないですか?」「…確かに。恋人になってから服の下見せるの初めてだったからな。」


ドン


大田君の部屋から壁を殴りつける音が聞こえた。ここの壁相当厚いはずなんだけど…「取手さんですか?」


バン


今回は手のひらでたたいたような音だった。「信良さっきの話聞こえてきたか?」


ガン


何かをたたきつけたような音だった。壁に穴が開かないといいけど。「何が気に食わなかったんだよ?」「自分で~当ててみれば~いいんじゃないですか~。」「分かったよ。大通と協力してもいいか?」「ええ。いいですよ~。」ええに闇を感じた。そして普通に会話ができてることにはつっこまないぞ。

「よし大田、何がダメだったのか話し合うぞ。」せっかく付き合ったのにこんな形で別れたとなっては悲しいから全力をを尽くして手伝おう。「怒られた原因ってやっぱり着替えたこと?」「あ?違うだろ。なんでそうなるんだよ。」


ドン


今みしって言った。これ壊れるまで秒読みじゃん。「怒られた原因着替えたことみたいですね。あともう間違えないでください。これ以上は壁が壊れます。」「ああ、そうだな。てかなんで着替えたら怒るんだよ」「じゃあ、…普通に恥ずかしかったとか?」「あ~ありそうだな。でもなんで恋人になったからって恥ずかしくなるんだよ」理由は思いつかない。「じゃあ無いですね。」「何でですか!」隣の部屋から聞こえてくる声。取手さんがゆったりとしてない声を始めて聞いた気がする。叩かなかったのは壁への配慮か何なのか。「恋人になったら恥ずかしくなるでしょう」壁の向こうから取手さんに怒られるけどこっちは二人で首をかしげるしかない。

「今から~そっちに~行くので~忍君~逃げないで下さいね~。」「はい…」



「正座してください~とも。」俺も一緒に正座をさせられた。またこんなことになってるよ。太田君と二人で取手さんに説教されるの何回目だろ。

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