第59話
久しぶりとも言えないような期間で取手さんには恐怖させられてる気がする。夜の暗い中、無言で笑顔を向けてくる取手さんは何かの物語に出てくる悪魔のような雰囲気があった。不敵な笑みが暗闇に対する恐怖を助長して、暗闇がその笑みを一層引き立てる。何度言うが恐怖以外の何もでもない。
「話を~戻しましょうか~えっと~何の話を~してましたけ~?」話してる口調はのんびりとしていて落ち着いてるけど顔がさっきと変わってない。何なら何を考えてるのか分からない分今の方が怖い。「大通君~大丈夫ですか~?もう~眠く~なってきました~?」「いいえ。すいません。違うこと考えてました。」「眠く~なったら~早めに~教えてくださいね~。ここで~寝ちゃっても私は~力が~ないので~大通君の~部屋まで~運べないですからね~。あ~!起きた時の~体の状態が~どうなってても~構わないなら~いい~方法を~一つだけ~思いつきました~。」「俺を階段まで転がして階段から転げ落とす、みたいな方法じゃないですよね」「…そんなことは~ないですよ~。えっと~方法は~ここの屋上から~大通君が~自分の部屋の~窓に~入れることを~願って落とすだけですよ」思っていたより猟奇的な発想だった。一応落ちても助かる見込みがどれだけあるのかを確認する為に屋上の下を覗いてみる。
「取手さん、この高さは多分人類が落ちたらヤバい高さです。まず助からないと思います。」「え~このぐらいの~高さなら~どうにか~なると~思うよ~。大通君なら~大丈夫~。多分~…助かるよ~」助かるの前の間が怖いのと、声のトーンがマジでやるやつの声をしてた。ここは自分の命は自分で守らなくてはいけないところだ。
「なんで~黙って~地面~見てるの?なんか~いるの~?」「いえ特に何もないですよ。ただボーっとしちゃって」「なに~眠いの~?ここで~寝ても~いいんだよ~?」気のせいか俺が眠いっていた時に瞳が輝いた気がする。「ここから地面に向けて放られたくないので遠慮しておきます。」「遠慮~は~しなくて~大丈夫だよ~。ちゃんと~優しく~放るから~」優しく放るとはいったい。この高さからなら運が超よくても骨の1本2本ぐらいは覚悟しなきゃいけないから放り方はあんまり関係ない気がする。
「まあ取手さんに投げられないように頑張ってここでは寝ません。」「そうですか~頑張って~下さい~」まるでおれがここから突き落とされる事を望んでいるような言い方。恐怖しかない。
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