第54話
夜中の屋上に良子さんがいた。しかも手すりに手をかけて前傾になるという慣れてないと怖い姿勢で。「大通君も眠れないの?」良子さんの格好はあったかそうな黒色の長ズボンに紺色のコートだった。
そんな良子さんがいつもの可愛い良子さんの面影もなく途轍もなくかっこよく見えた。「はい。なんか眠れなくて。」「そうなんだ。ならちょっと私と話さない?」答えはもう決まっている。わざわざ断る理由がない「上を見てみな。きれいだよ。」良子さんに言われてみると星が大量に見えた。この辺りは特段灯りが少ないわけじゃないから多分この澄んだ空気のお加減だろうな。
今日は晴れていて月も良く見える。いつかの書店で見た写真の景色と同じぐらいの星が見えてる気がする。「ここがね、私のお気に入りスポットなの。綺麗でしょ」沢山の星をバックに自慢げに話す良子さんはとても可愛く見えた。「綺麗です。月も星も」ここで良子さんも、とか言えたらモテるかもしれないのにそれができないのは俺が意気地なしだからだろうか。逃げるつもりで会話の話題を変える。
「ちなみに良子さんは何でここにいるんですか?」「私は…午前中に寝ちゃって眠れなかっただけだよ。大通君は?」「俺も同じようなものですよ。寝るつもりもなくてのんびりしてたらいつの間にか時間が過ぎててってだけです」「そうなんだ。同じだね」そう言ってはにかんだんだ良子さんの顔が月明かりに照らされて、忘れることのできない思い出になった。
「そうえば、北海道の気候に慣れた?」「まあ、慣れてきましたよ。まだコートのいる気温なのには違和感を覚えますけどね。」「まあ、今年は特に酷い年みたいだからね毎年こういう感じじゃないんだよ。それに北海道にもいいものいっぱいあるよ。今度ゆっくり観光にでも行こうか。」「いいですね。なら大田君と取手さんも誘いません?」「確かに。観光ってみんなで行った方が楽しいもんね」
体感で三十分ぐらい話していると良子さんが眠くなってきたようで目が半開きになってきた。今まで旅行の計画を立てるのに夢中になって時間を見てなかったの思い出した。時計をいると日付が変わるまで後二十分もなかった。「良子さん、そろそろ家に戻りますか。」「あー何分ぐらいだった?」「今11時四十分です。」「確かに帰った方がいいね。」今まで良子さんが腕を載せていた手すりから手を放し動き始める。階段ではあまり会話はなかった。隣にいるけどお互いに無言の時間を苦に感じていない距離。それが今の俺と良子さんの関係。
~後書き
今回も文章の感じが迷走してきました。あーでもない、こーでもないと言いつつ書いたので更新が遅くなりました。申し訳ありません。
最後にしばらく、自分の納得のできる文章を模索していくので文章が読むに堪えないとは思いますが 今後も自分にできるその時の最高の文章で更新していきますので今後ともよろしくお願いいたします。
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