第50話
マンションに帰ってきてから自分の部屋によって太田君の家にいく。
理由は帰って来る道のりで大田君に頼まれたから。大田君は全くと言っていいほど料理が出来ないらしい。よくそれで一人暮らしが成立してたなとも思ったけど言わない優しさぐらい俺にもある。
話を戻して調理に必要な片手鍋、フライパンだけを持って太田君の家にいく。材料は太田君の家にあるものを使っていいらしい。なのでメニューは太田君の部屋の冷蔵庫を見て決めようと思う。…何気に太田君の家に行くの初めてのじゃない。挨拶は玄関の前だったしご飯とかの時は良子さんの家でやったから初めてだ。
なんか理由もなく緊張してきた。太田君の家のインターホンを押す前に太田君の家を予想してみようと思う。
ゴミ屋敷みたいな家なのか物のない家なのか俺的にはこの二つのどっちかだと思って
る。どんな感じなのか期待しながらインターホンを押すと直ぐに出てくれた。
「あ?なんだよ。大通かよ。早く入れよ」口調こそいつもと変わらないけどいつもより楽しそうなのが声で分かった。テンション高い時の声をしてた。これは俺の料理を楽しみにしてくれてると考えていいのかな。なら嬉しいな。
太田君の家は綺麗だった。物がないわけでもないけど汚くない。埃とかは一切無くて家具もゴミもきちんと整頓してあった。俺の予想からかけ離れた部屋だった。
「太田君の家綺麗ですね。」意外過ぎて口に出てしまった。「あ?当たり前だろ。彼女ができたんだ。何時でも呼んでここで遊べるように綺麗にしておくだろ。」お~予想以上ちゃんとしてた。ただこれいつの間に綺麗にしたの。大田君、昨日は取手さんに連れられ挨拶に行ってかまくらに泊まって俺と同時に帰ってきたはずなんだけど。おかしいな。
「いつ綺麗にしたんですか?時間ありました?」聞くしかない。なにか速攻家を片付けする方法があるなら教えてほしいし。「何言ってんの?あっただろ。大通が調理器具取りに行ってるとき。気張って頑張ればどうにかなるだろ。」何とも役に立たないアドバイスを教えてもらうことが出来た。埃とかどうやって無くしたとか色々聞きたい事はあるけどこれ以上聞いても疑問を増やすだけになりそうだから諦める。
まあ部屋が綺麗で困ることもないだろうから驚くのもこれぐらいにして冷蔵庫の中を見せてもらう。自信がありそうな大田君を見てるとなんか不安になってくる。
卵、もやし、ゼリー以上。これが太田君の家の冷蔵庫に入っていたもののすべてである。冷蔵庫には苺プロテイン味のアイスしかなかった。勿論野菜室には何も入ってない。…てか苺プロテイン味ってなに。うまいの?それ。なんか一周回って気になるんだけど。
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