第38話 吹雪の中へのとんぼ返り
大田君た話すために外に出てきてから一分ぐらいたった。大田君はコンポタを美味しそうに飲みながら覚悟を決めてる。
寒さに対する耐久力が俺とは違いすぎる。俺はコンポタ飲みながらでも寒さで震えてるのに。こんな事を考え始めてから直ぐに大田君が口を開いた。これ以上またされたら俺は氷になってしまう所だった。
「小宮の部屋では俺が…」恥ずかしさあらためてこみあげてきたのか真っ赤になってる。「ゲームで勝った時のお願いで『ずっと一緒にいてくれ』って言ったんだよ」今まで以上に顔が真っ赤になっていた。
それ告白なのか、それともただの美しい友情なのか。
「太田君、それで取手さんになんて返されたんですか?」この質問でどういう意図なのかわかるはず。それに気になるので全て話してもらう。まあ本当に避けなきゃいけない所は避けるけどさ。
「『ただずっと一緒いたから高校生になってからも一緒だよね』っ言われた。」最後の方のトーンが下がってきた。多分大田君としてもその返事は不本意だったんだろうなー。どう考えても友人としてだもんなー。これは取手さんの方にも聞いてこないとダメだな。
良子さんの家に入ると良子さんが玄関にいてくれた。太田君の告白擬きに悩まされてなかったら嬉しくて昇天してたんだけど今はそんな余裕がない。様々な現代の悩みには友人の告白擬き、これ一つ。
こんなくだらないギャグで現実から逃げ出す。ここに良子さんがいるってことは二度目のとんぼ返りを決めるしかない訳です。いくらコンポタを飲んだとは言え最強じゃないんだから無理なものは無理なんだよ。
…無理だとしても取手さんの主張は聞いておきたい。そのためならなんだってできる気がする。まああくまで気のせいなんだけど。長生きするコツは自分の限界を知ることと無理できるところとしないところをしっかり分けること。この二つ。
そして今は無理の出来る時。明日風邪引かないようにがんばるぞー。
…ここまで考えてて結局俺に用事はありませんとかだったらハズイな。
「大通君、コンポタの追加買いに行きたいんですけど自動販売機の場所がわかんなくなっちゃったのでついてきてもらってもいいですか?」誘い方が下手。大田君は特に気にしてないみたいだけど普通に考えて不自然だと、ここまで考えて思考を放棄する。何故なら良子さんがこちらを見て必死に、大田君にバレないように人差し指を口に当ててジェスチャーしているから。可愛い、特に大田君には怪しまれてないしわざわざ良子さんを責める必要ないな。
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