第37話 告白回(?)
良子さんが超有名なレースゲームを持ってきた。俺でも知ってるレベルのやつ。
ちなみにもう既に二人には説明している。反応はほぼなかった。多分二人とも同じことを別々に考えるだと思う。例えばこのゲームに負けた方に罰ゲームをつけるとか。「忍君~。このゲームに~勝った方が~お願い聞いてもらえる~とか罰ゲーム、つけて~やりませんか~」この取手さんの提案に二つ返事で即答している太田君。俺と良子さんはこんな二人でも両想いなのか…と呆れている。何が言いたいかというとこの二人を結びつけるの難しい。
結局1レース目の勝者は取手さんだった。取手さんのお願いはジュースの奢り。太田君が買ってきたのはあったかいコンポタ。今日は寒いからおいしそうだった。良子さんがうらやましそう
に見てたので次の試合が終わったら俺のコンポタ買いに行くついでに買ってこよう。
この二人の不毛な戦いは二戦目。この試合の勝者は大田君。俺はこの間に三つコンポタを買って来る。一応太田君の分も買っていく。ここのマンションに自販機はないから一旦外に出るしかない。外に出てから一分。もう既に体が冷えてる。そんな中のコンポタの温かさが手に染みる。
良子さんの部屋に雪を掃って戻る。
さっきまでゲームをしていたリビングに入ると真っ赤になった大田君と取手さんと良子さんがいた。
告白したの?俺は告白シーンを見逃したの?
「どう、どうしあ、どうしたんですか」余裕がもう皆無。嚙みまくってる。話がまとまらない。動揺がやばいことに。そして語彙もどこか行った。
「…」皆顔を見合わせて黙ってる。この疎外感。
辛いものがある。
「聞きたいならちょっと来いよ。」一番顔の赤い大田君が廊下にでて言ってくれる。この状況で解説してくれるのはありがたい。コンポタの缶を良子さんに渡して自分のと太田君の物を持って廊下に行く。
「ここだと中に聞こえるから外行くぞ。」…体冷えるなー。吹雪の中にとんぼ返りはきついな~、そんな貴方へ。体の芯から温まる缶のコンポタ。
下手な茶番をしてから外に出る。覚悟してたけどやっぱり寒い。っていうか覚悟でどうにかなる寒さじゃない。
雪が顔にあたって体温がー。
「さみーな。コンポタ一つよこせよ。」大田君が手を出してくる。まあ大田君ように買ったからいいんだけどそうじゃなかったら図々しい。こんな余計な事を考えてる時間も体が冷えてくる。
余計な事を考えるのを止めて素直にコンポタを渡す。早く本題に入ってください。俺が凍える。
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