太田君×取手さん 入学式まであと少し

第33話 作戦会議には探偵服しかないでしょ

海鮮美味しかった。五分経った今でも美味しさが思い出せる。美味しい海鮮の余韻に浸るのはこのぐらいにして現実に意識を戻す。戻すとそこに見えるものは何故か探偵の恰好をしている良子さん。詳しく言うとThe探偵という感じの赤茶色の外套を室内なのに着て同じ色のハッチング帽子をかぶっている。とりあえず聞きたいことを聞く。

「その服どこで買ったんですか?」なぜこのタイミングでその服を着たのかとか積もりすぎた疑問はあるけどまずはこれ。「こんなに可愛いのに信良ちゃんが着るタイミングがないというのでありがたく貰ったものなんです。かわいくないですか?」

同意を求められてもなぜこのタイミングで着たのかという疑問で頭がいっぱいなので答えを求められてもきついのですが…「どう?」上目遣いは卑怯じゃん。せめて選択肢は欲しかった。「可愛いし似合ってますよ」これしか選択肢がない。

「そうえばなんで俺を呼び出したんですか?」もうこの際探偵風の服は置いておく。そこに突っ込むとあと一時間ぐらい本題に入るのがおくれてしまう気がする。

「そうだった。とりあえず今太田君と信良ちゃんに連絡とってないよね?」わざわざ確認されるとは。もしかして取手さんと大田君の両片思いのこときいたのかな?「取ってないですよ」「二人には内緒にしてね。二人、実は両想いなんですよ」知ってたー。やっぱりその話だよね。「それでなんで俺はここに呼ばれたんですか?」「反応薄くない?」がっかりした顔された。まんか効果音つけるならシュンみたいな感じ。これはこれであり、可愛い。「まあ、気を取り直してこの2人をくっつけたいの」なるほど、この二人をくっつければ楽しく…いい思い出になりそうだ。何せ俺は本宗でろくな思い出でがないからこういう時に思い出を作って、高校に入った時の話題にしなくては。せっかくしがらみから外れたんだ、とにかく友達を作るぞー。

話が逸れてしまった。「それで具体的にはどうするんですか?」何も説明されずの状態じゃどうしようもない。なのでとりあえず聞いてみる。「そんなの決まってるじゃない。」決まってるらしい。そしてその口調何?

「それはね。私が買い物に誘うからそこで二人だけにするのだ。そうするといい感じに雰囲気が良くなってくるはず。」思ったよりも心にくるタイプだった。どこかにふらっと行く方も心痛むし、どこかに行かれた側も俺だったら心折れる。そんな過激な作戦に出るのかととりあえず覚悟を決める。

「実効っていつにします?」なんかやばいことしようとしてる人みたいな聞き方になっちゃった。悲しい。「善は急げって言うじゃん。だから明日とかどう?」キラキラとした曇りのない目で聞かれたら断れない。卑怯じゃん(本日二度目)。そして当然承諾。むしろ断れる人がいるなら出てきて欲しい。

そしてちゃんと事前の連絡を太田君と取手さんに連絡をとり、計画を立てその日はお開きとなった。

翌朝外を見ると吹雪で1メートル先も見えなくなるとは知らずに。

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