第29話 何より人目が辛い

まず、練習をする際に最初に困ったこと、いやまだ始まってないか。道着がきれない。なんか紐がいっぱいありすぎる。ネットで見たときはそこまで大変そうじゃなかったのに。実際にやってみるとわかんない。そんな感じで苦戦しながらようやく着ることができたのは30分ぐらいしてからだった。「ようやく終わりました。」更衣室らしき物のそとにいる取手さんに言う。「やっと~着替え終わりましたか~。長かったですね~」勉強不足だった。とりあえず反省、2秒ぐらいは。

その後取手さんの指示のもと練習を初めていく。そして取手さんが出した指示は基礎練習、取手さん曰く小手先の技は本格的にやるとなってからということらしい。そしてもう薙刀をやるみたいになってるんだけどまだわかんないから。

もう会話は終わりにして早速練習をはじめる、俺が心の中で突っ込んでるだけで会話と呼べるほどのやり取りがなかったとか心ないツッコミは止めてください。「まずは~中段の構えからね~。この構え~よく〜使うから~忘れないでね~。」なるほど大丈夫らしい。ちゃんと覚えなければ。まずは最初その構えを見せて貰う。その見た目は素人には剣道の構えとの違いが分からない。違いといえば持っているものが長いことぐらい。

もう疲れた。あれから五分ぐらいこの体勢。中段の構えのまま指示がない。楽な体勢でも少しずつ疲れてくる、というか直立状態維持でも疲れる。もうこれ何の意味があるの?もう考えることを放棄する。そのあとちょっとしたら新しい指示が出た。ほんとありがたい。まあそもそも俺がこうなってるのは取手さんのせいなんだけど。そしてその次の指示が素振り。なんか大田くんとは正反対な練習方法してるな、大田くんは実戦で身につけるみたいな練習方法だったけど取手さんのは基礎をしっかりさせてる。それこそ中段の構えを5分以上維持するところとか、絶対必要ないでしょ。そして素振り。なんか肩、腰が痛い、原因はまあ5分以上中段の構えをしたところにある。「早く〜素振りはじめないと〜私の〜竹刀が肩に〜当たっちゃいますよ〜」絶対狙ってる、まじで取手さんが竹刀を振るのはは間違いない。この短時間でもわかる、取手さんは脅しとかしないタイプだ。


そしてこの後二時間ぐらい素振りしてから練習終了になった。外だから時々子供連れのお母さんが通る、その時さりげなくこの空き地を見せないようにしてたのが1番辛かった。


そのあと急いで家に帰る、良子さんとの約束まで時間がない。

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