第23話 もう結婚しては?大通君視点

サイドメニューを食べ終えた。今まで頑張って気付かないふりをしてみたがもう限界。「なんで見てるんですか?俺の顔に何かついてます?」と良子さんに聞いてみる、できるだけ丁寧に。「い、いや何でもないですよ。」横をみて音の出ない口笛をしてる。嘘つくの下手過ぎる。そして嘘の下手な誤魔化しかたの典型例、もう寧ろ突っ込んでほしいの?のレベル。ただほんとに隠したがってるならわざわざ聞くほどでもないだろうから無理に聞き出さないけど。「なら良いです、何か相談があれば言ってください。力になれるか分からないですけど話すだけならただなので。」なんか謀らずともイケメンぽい返しになった、俺って実はイケメンだった説。あれ、これ下手すると格好つけたは良いものの典型例過ぎてハズいやつなのでは。ふざけてる余裕がなくなるぐらい恥ずかしい、なんか顔が熱い。「ありがとう、でもほんとに何でもなくて美味しそうに食べるな~って見てただけだから大丈夫。」なるほど、それはそれで恥ずかしい。良子さんもそう思ったらしく顔が真っ赤だった。うん、なんかダメだ、速めに会話切り上げて家帰ろう。悶絶しそう。

「えっと、じゃ、じゃあお会計お願いします。」なんかぎこちなくなってキツいんだけど。そのまま餃子と唐揚げのお会計を済ませる、後から注文できるため、それの対応のために券売機とは別にレジもある。大田君もなんかサイドメニュー頼んでた、ご飯中は麺を啜るのに忙しくて気づかなかったし食べ終わっても良子さんと話してたからわかんなかった。頼んだメニューは見たことのない皿だった。だから唐揚げと餃子以外だと思う。後でなに食べたのか教えて貰おう。

そのままお会計をするためにレジにいく。支払いはサイドメニューのみなのでそこまで高くなかった。むしろ安かった。支払いは取手さんが対応してくれた。その時、明日薙刀の練習に参加させてくれると約束してしまった。今日のことでつかれていたから、明日は休憩しそうと考えていたけどそういう訳にはいかなくなった。

今はまだお昼時が終わった所なので二人はまだ帰らないらしい、夜ご飯の時間も店の稼ぎに貢献するらしい。取手さんが親孝行だと思っておこう。例え取手さんが働いた分全てが取手さんと良子さんの元にお小遣い、お手伝い費用として入っていくとしても。なんで俺がこれを知っているかと言うと大田君が教えてくれた。そのうち取手さんの被害者の会とかできそうだな。

そのことは置いといて帰り道は大田君と二人、さっきもそうだったと言えばそうだけどなんか親しくなった後だとどう接していいかわかんない。店を出てからすぐに会話の内容がない、最終手段に使おうと思ってたサイドメニューの話を切り出さなくてはならないほどに。「サイドメニュー、なに頼んだんですか?」「あ?なんだよ目の前で食べてたのに気付かなかったのかよ。麻婆豆腐だよ」話し方に似合わず面倒見が良いらしい、そしてあの皿は麻婆豆腐らしい。常連も頼んでるなら相当美味しいに違いない。

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