第21話 ラーメン屋にて

店の制服らしき姿の良子さんと取手さんを見つけた。声かけるべき?それとも何も見てない感じにする方がいい?

よしなにも見てない。知っている女性のバイト姿なんってもっと見てない、もっと見てないってなんだよ。久しぶりにボケた気がする。そんなことより取手さんと良子さんが近付いてきてる。このままでは見つかってしまう。隠れようとしてメニューで顔を覆い隠す。今頃だけど食券なのになんでメニューがあるの?よく読んだら、ラーメン以外のサイドメニューはいつでもいいらしい。「なんだよ、取手今日もいるのかよ」なんか取手さんに大田君が話しかけてるんだけど。それになんか取手さんいつもここでバイトしてるの?「忍君じゃないですか~今日も~ラーメンですか~?栄養大丈夫ですか~」それに大田君ここの常連、今気付いたけどこれいつメニュー置けばいいの? なんか出るタイミング逃してやばい。よし俺は隠れようなんてしてない、メニューを見て追加のサイドメニューを見ていただけだ。顔をあげると、取手さんと大田君は言い合いを始めている。この二人と話すようになってからまだ二日目だけどなんか慣れた、慣れって怖いね。良子さんはというとサイドメニューの注文を取りに行ってる。大田君と取手さんは未だに仲良く喧嘩してる。仲良いのに喧嘩してるって変かな、いや仲がいいほど喧嘩するみたいなことも言うし大丈夫か。余計なことを考えてる間に取手さんと大田君の口喧嘩が終わっていた。まあ喧嘩っていうほどひどくなかったけど。それよりサイドメニュー頼むなら今か。メニュー見てたら、餃子と唐揚げがあるのに気付いてしまった。ラーメン屋なのに唐揚げと思わなくもないけど、それにこの間食べたばっかりだし。ただ写真が美味しそうだから食べたい。「あの取手さん、サイドメニューの注文いいですか?」丁度二人の会話が途切れたところで聞いてみる。「大通君も~いらしてたんですか~?サイドメニューの~追加ですね~何に~します~?」「唐揚げと餃子ください。」「それだけで~いいですか~もっと美味しい~もの~ありますよ~」押し売りだと!商売根性逞しいな。て言うか慣れてる。相当な期間やってるな。「なにがおすすめなのか言わないのかよ。大通こいつの話まともに聞くとサイドメニュー全部頼むはめになるから辞めとけ。適当なところで無視するのが一番だぜ。」この感じだと大田君は全部頼んだことがありそうだな、それも取手さんにそそのかされて。「人聞きの~悪いこと~言わないでください~。全部頼んだことについては~私は~関係~ないですよ~」「で、全代金俺が払わされたんだがな?」「だって~注文したのは~忍君ですし~」なんか言い合い始まりそう。「これ以上は食べられる気がしないしないので今度にします。」もう無理矢理切るしかない。というこで、首を突っ込む。「あ、そうえば取手さんはバイトですか?」聞きたかったことも聞いておく。「私は~自分の~家の~手伝いですよ~、良子ちゃんには~手伝って~もらって~ます~。」自分の家の手伝い、ということはここ取手さんの家?!なるほど、驚いた。どのくらいかと言うと、元素番号100番がフェルミウムだということと同じぐらい。

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