第2話 蒼乃 翼《あおの つばさ》

「あの、私を弟子でしにしてください!」


「えっと…あなたは?」



輪廻堂に一人の少女がやってきた。年齢は私と同じくらいだから、高校生、かな?


依頼者かと思い近づくと、挨拶もそこそこに、弟子にしてほしいとの唐突なお願いをされた。


そしてこの状況である。



「私は蒼乃あおの蒼乃翼あおのつばさです。高校生です。」


「えっと…つばさ、ちゃん?どうして私の弟子でしになりたいの?」


「…私は、あやかしが見えるんです。」


「……。」


「だけど、周りのみんなは、『それ』が見えないから、どんなに言ったって分かってくれなくて…。」


「でも毎日、そのあやかしが私に言ってくるんです。"たすけて"ってこえが…。」


「声、か。」


おそらく、そのあやかしは成仏もできずに、ただ彷徨っているのだろう。


誰にも気づかれずに、ただ一人で。


「でも、それだったら私に依頼してくれればいいのに、なんで弟子になろうとしたの?」


「…私は、あの声を聞いて、自分の手で助けたいと思ったんです。」


「たとえ人じゃなくたって、その子は助けを求めてる。そのあやかしの為になるのなら、私は弟子でもなんでもやって、必ず助けたい。そう思ったから、貴女あなたの弟子になるためにここに来たんです。」


「へぇ…。」


「だから、お願いします。私をあなたの弟子にして下さい。」



この子はきっと、とても優しい子だ。

普通なら怖がって拒絶するだろう。でも、彼女は違う。

助けたいという、『意思いし』がある。



この子なら、妖を救ってあげられるかもしれない。


だったら、弟子にしてもいいかな。


「分かった。あなたの意思は伝わった。

これから貴方を、私の弟子とします。」


「あと、忘れてたけど私は天乃あまのゆか。好きに呼んでくれていいし、タメで構わないよ。同い年だと思うし。」


「っ!!やったー!ありがとう!ゆか。」


「でも、その前にやってもらわないといけない事がある。」


「何をやるの?」


「貴方がどんな術式じゅつしきあつかえるのかを確認する。」


翼は、どんな力が使えるのだろうか。

私は主に闇の術式を扱うが、私の扱う術式は特殊なものだから、滅多に見ないのだけど。


「じゃあ、店の裏庭に来て。そこであなたの能力を見させてもらうから。」


「うん、分かった。」


そう言って私と翼は店の裏庭へと足を進めた。

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とある世界のお祓い屋 柳もち @yanagimoti

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