恋愛講座

藤原稔

論理的な君へ

さて、この文書を開いた君にまず謝らなければならない事があります。私は生涯1度の恋愛も経験した事の無い童貞であります。

ですから「彼女を作る秘訣」だの「モテる手段」なんて現代の小学生が読んでそうな雑誌に書かれている事は書けませんが、ここで私は敢えて、自分の恋愛観を暴露する事を恋愛講座なんて名を付けて公開するのであります。

興味を持ってページを開いた方々の半分以上が消える頃でしょうが、君のような1つまみの文弱に向けて、かの有名な作家に習って、恋愛講座を開講したいと思います。


まず初めに、おそらくこの作品を読む方に、恋をした事のある人なんておろうはずがありませんので、現代での価値観で言う"モテない人"の特徴から論理主義者なんてものを扱っていきたいと思います。

論理主義者は常に、何事も筋を通したいだなんて思想を掲げて居ますので、何時も周りと相反しているでしょう。

それ故に女、或いは男との関わりが薄く、非常に寂しい日々を送ってきた者が多く見られます。

そんな人には真実の恋を推奨致します。

論理主義者は、そもそも恋愛とは何だと考えるでしょう。国語辞典を引っ張り出して調べていくうちに、これは互いに愛し合う事であると結論が出るわけです。

これを見た論理主義者は、現代人の恋愛がこれに相反している事に気付くのです。そしてこれを嘲笑うのであります。

どうも現代人は恋をする事に対して、これを遊び感覚で取り組んでいる者が多い為であって、異性に声を掛けられ昂った時に起こる一時的な感情を恋と断定して、そのまま物事を進めて後悔の念に襲われる者が多いからであります。

恋愛をしているものにすれば、恋をしていない君こそ愚かだ。と、逆に論理主義者を見下しますが、論理主義者は「恋をしている者が勝者だという考えは空虚で、それは愛し合う事よりも恋をしているという自分が大好きなんじゃないか?」と自信気に返すのです。

確かに、世の中恋が全てで、恋人のいない者は弱者であり敗者だ。なんて位置付ける考えには賛同しかねますが、これは互いに恋愛に対する向き合い方が違うのであって、どちらも間違ってはいないのです。

論理主義者は恐く、恋と呼べる感情を異性に抱くまで恋人を作るものかと否定し続けるでしょう。私はこの形態が非常に美しく、かつ古めかしい考え方であると考えています。

論理主義者はヤケになって恋をして、ほとぼりが冷めた頃に、自分が何をしていたのか、、、。と思い耽る事を恐れていますので、彼らに恋なんて物が訪れる確率は非常に低いでしょう。けれどもやはり彼らの憧れる恋には、文学的美しさと、恋人を絶対に愛してやるという強さが見えます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

恋愛講座 藤原稔 @fujiwara617

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る