第33話 そして朝


 気付けば朝だった。


「あれ……いつ寝たんだっけ俺?」


 頭をポリと掻き、横を向く。……デニーズが寝ていた。


「うーん……うん。やってない。そういうことはしてないはず」

「それはどうかな」


 開いた目がこちらを見る。


「うわあっ!? 起きてたのか!」

「うん。寝たふり」

「はあ……ビックリした」

「昨日は激しかったよ」

「嘘……」

「嘘。わたしはあのビッチ女とは違うの」


 身体を起こしたデニーズは、乱れなくパジャマを着ていた。


 この様子ならどうやら本当になにもなかったようだ。


「……でも、ガストが求めれば抵抗しなかったかも」

「なにが?」

「馬鹿」


 枕を投げつけられる。年頃の女の子はわからん。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る